代表の佐藤です。

 

素人は「戦略」を語り、プロは「兵站」を語る、という言葉をご存知でしょうか。

補給戦―何が勝敗を決定するのか マーチン・ファン クレフェルト (著)

この本を最近読みました。

端的に要約しますと戦争という仕事の成否の9割は兵站だということです。
中世から第二次世界大戦の戦争における兵士や馬などの消費カロリーや運搬能力から導き出していて、至極ごもっとも!といった内容です。

遠方に行けば行くほど補給路は細く長くなり、その確保は大変難しく、脆弱になります。

補給部隊自身にも当然食料など必要ですから、戦地に物資が届くまでに物資が目減りしていきます。
補給部隊自体の行き帰りの物資にプラス戦地用の物資が必要なのです。

また、特に攻める側は軍勢が多くなればなるほど補給する物資が多くなるため、補給路の途中で敵勢や山賊に襲われる危険性があり、補給部隊を守るための兵士が必要となり、その兵士用の物資が必要となり・・・
非常に難しいことがわかります。

この補給路の脆弱性を解消するのに、「現地調達」という進軍途中の村から収奪するモデルがあります。
それでも進軍中は天災の嵐のようなもので、軍が通り過ぎてしまえば恨み節はあれど復旧にまい進することができます。

しかし、敵陣に到着し特に籠城攻めの場合は長期駐留することとなり、周辺の村々は延々と収奪され続けることとなります。

 

これを現在のビジネスに置き換えると、比較して大きな企業がより小さい事業者の事業を飲み込みながら事業拡大していく様に似ています。

中小零細事業者が競合として排除されるパターンもあるでしょうが、逆に吸収されて一部署として事業継続する場合もあるでしょう。
吸収された場合、ある意味で大きな企業の後ろ盾を手に入れることができたとも言えますが、そうでもないこともあります。

中小零細事業者が独自に築いていた地場の流通網は淘汰され、進撃する企業の用意した細長い流通「路」で上書きされます。
当然、それだけの規模を賄うだけの流通路ですので流量はありますが、環境が変化するなどによる影響への多重性・強靭性に脆さを持っています。
経路が長大なだけにその流通路自体がアキレス腱となるのです。

進出してきた企業がある臨界点に達し、成長が止まったとします。
特にデフレによる不況という要因が企業と地域を追いつめます。
上層部から激しいコストカットを要求され、給与・人員は削減。
利益確保のために単価を上げると、利用者の財布の負担が大きくなり消費が縮小。
ましてやその利用者も実はその店舗の従業員だったりして、自分たちの首を自分たちでしめて行くことになります。
そしてさらに売り上げが減り、コストダウンが繰り返される・・・

その果てにその企業がその地域市場からの撤退をするとどうなるでしょう。

この時点ですでに地場の流通網は壊滅しています。
当然、企業に吸収された元地場の事業者も、利用価値のある経営資源はすでにお召し上げ状態です。

その地域もその企業の販売力のみならず雇用もあてにしていますので、消費者=被雇用者も購入先とともに職業を失ってその地域から流出、その地域はぺんぺん草も生えない過疎化地域になり果ててしまうのです。

 

企業としては成長していくことが命題となり、勝ち続けて行くことが存在価値なのかもしれません。
軍隊のように。

しかし地域の住民は違います。
地域に根ざして生活をしていくことそのものが求められていることなのです。
そのためには、大きくは稼げなくてもお互いがお互い様となって、つながり合いの網を太く強固なものにしていく。
それが中小零細事業者なのです。

 

栄枯盛衰という言葉があります。
ノアの箱舟やバベルの塔の逸話があります。
全ての道がローマに通ずると言わしめたローマの崩壊は雪崩を打つようなものだったそうです。

勢いある一強の派手な成功に依存することなく、地味でも多重的多層的な基盤の構築こそが人の暮らしを豊かにするのだと思います。

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