税は使うものではない!とある話が租税の考え方を劇的に変化させる

代表の佐藤です。

前回の記事では貨幣とは負債であり、国債とは政府による貨幣発行数量に過ぎないという内容でした。

これに対する反応としてよくありがちなものとしては

  • 借金をつけまわして良いなんて将来の子供世代に責任を押し付けるのか!
  • 借金を返さなくて良いなんてモラルハザードが起こるだろうが!
  • 政府がカネをバラまけるんだったら税金とらなくて良いっていうのか!
  • 無制限にカネを発行したらインフレになって大変なことになるだろうが!ギリシャ!ロシア!ワイマールドイツ!
  • カネが余ったらみんなカネを信用しなくなって使わなくなるぞ!
  • カネがカネだと思っているのは習慣でみんなが使っているからだ

といった感じでしょうか。

個別に回答しても良いかと思いますが、とりあえずは一度深呼吸をして、以下のお話しを読んでみてください。

とある家庭のお手伝い目録

とある由緒正しい名家のご当主様は、こどもたちの教育に少し頭を悩ませていました。

こどもたちが家の手伝いを、まー!しない!

都度つど、「使ってない電気は消しなさい!」「食べた食器は片付けなさい!」「じぶんの部屋の掃除をしなさい!」「庭の雑草を刈りなさい!」といちいち叱ったところで、彼らはふてくされて渋々はやるものの、自ら率先してやりません。

叱られて行動するようでは由緒ある当家の後継ぎ候補として些か如何なものであるか。
このままではイカン。

よし、では手伝いをしたら褒美にこの私の名刺をやろう。
私の名刺は政財界誰しも欲しがるモノぞ。

どれどれ、掃除終わったか?ほれ、私の名刺をやろう。

は?要らん?・・・だ・・・と・・・

そんな紙切れもらっても何の役にも立たないヨーだ!ベロベロバー!、、、だと?

ふーむ。こどもには価値がわからんか。

やはり玩具なのか?
何か玩具やらお菓子でもやれば少しは家の手伝いをするようになるのだろうか。

ん!イカンイカン。

それでは叱っているのと内容が変わらない。
ムチがアメになっただけだ。
自ら率先して、自らが成すべきことを成す人に成らなければ意味がない。
ましてや表面だけ繕ってサボることを覚えるやも知れぬ。

そもそも、家を綺麗にするだけなら掃除夫を雇えば良い。
褒美をやっては、家の手伝いをまるで私がこどもたちにお願いしているようなものではないか。

ふむ!
よし、わかった。
良い考えがあるぞ。ふっふっふ

さぁ、庭の手入れをしてきなさい。
それが終わったら、『私の名刺をやろう』

うん、うん。
「こんな紙切れ」おまえたちが要らないのは重々わかっている。
まぁ続きを聞きなさい。
とっても欲しくなるぞ。

いいか?
仕事が終わったらそれに応じた枚数の私の名刺をやろう。
『ただし、毎月末日には30枚回収する。』
月末に30枚、お父さんに返せない子は、この家から出てってもらうからそのつもりで。

その後こどもたちは目の色を変えて家のことをやるのでした。

めでたし
めでたし
チャンチャン

どうしてなんだよおおぉお!!!Ⓒ藤原竜也

だってそうでしょう。
30枚集めないと家から追い出されてしまうのですから、必死に家のお手伝いをして名刺を「稼がなければ」いけません。

このお話は米国投資家であり経済学者でもある、ウォーレン・モズラー氏による租税が貨幣をドリブンしているという「租税貨幣論」を端的に表した逸話そのままのお話です。

※元のお話では由緒正しい名家ではなく、モズラー氏の家のお話でした(笑)今回のものは読み物として脚色しています。

前回のブログは貨幣の本質について書きましたが、今回は「貨幣の本質が信用である」についてのその信用の物質化、「租税」について書くものです。

信用が貨幣であり、租税が貨幣の単位「通貨」を定義している

お察しのとおり、上の逸話のお父さんが政府+銀行=総合政府、こどもが国民、名刺が通貨で、月末回収されるのが税です。

税で回収しなければ、通貨はお父さんの名刺のようにただの紙切れです。

国権である租税という強制力を以って、国民が貨幣を用いる動機を創り出しているのです。

前回、前々回のブログで、時差がある二者間の取引きでは物物交換が成り立たないと書きましたが、もちろん二者間で納得できる価値・数量同士で即物的に交換できるものだけに限れば成立が可能です。

しかし、分割できない物(建造物など)と食品は物物交換できるのでしょうか。
貨幣が介在しなければ、建物の価値に等価と判断した食べきれない数量の食品〇トン分をどのように処理するのでしょう。

その可搬性は?汎用性は?尺度は?単位は?
関係する人が増えれば増えるほど、物々交換では成り行かなくなるのです。
貨幣はそういった様々な問題の緩衝材になります。

そして、その貨幣という概念に「単位」という機能をつけたものが通貨です。

単位がなければ、大変です。

鯛一尾と交換するのに、米なら一合、大根なら2本ならまだしも、包丁1丁は鯛10尾くれないと渡せないけど一尾しか要らないなぁ、などなどなど。

交換するのも大変ですし、交換リスト作ろうとしたら電話帳くらいの量では利きません。
交換の組み合わせは無限になり得ますから。
一つ世界に新しい製品が生まれる度に全商品と対応表を作らなければいけない。
気の遠くなる作業です。

通貨という単位があれば、交換したい物と通貨との組み合わせだけ考えれば良い。
つまり値段を実現できるのですね。

ではその単位は誰が規定するのか。

モズラーのお話でいえばお父さんです。
名刺の枚数という単位です。

この名刺枚数という「通貨」により、モズラー家の中でこども間の「産業」が発達します。
月末にお父さんへ30枚返すというルールさえ守れば良いのですから、例えば庭の草刈り(公共工事)で名刺3枚もらえるなら、1枚を兄弟に渡して外注(下請け)するとか、名刺1枚で宿題を代わりにやってあげるとかプラモデルを代わりに作ってあげる(民間事業)などです。

日本でいえば円。
アメリカでいえばドル。
イギリスならポンド。

主権国家というのは徴収する税の単位をその通貨で指定しています。
日本において、ドルで税金は払えません。

通貨発行主体である者=国家が単位を規定し、立法が徴収量を決め、行政がその徴収業務を行うのです。

しかし逆に通貨主権を捨ててしまっている国、持てない状況の国もあります。
上であげたデフォルトした国々では・・・

  • ギリシャは通貨ユーロのEU所属。
  • 1998年のデフォルトしたロシアは頼れる産業が資源産業しか無く、貿易依存度・外貨依存度が高く通貨安を許容できない、実質的に独自通貨でなかった。
  • ドイツは第一次大戦の賠償金はもちろん外債。

通貨に主体性を持てないということは国家の主権の一部が外国に侵害されているとことを指し、経済は非常に不安定になります。

税の役割をみんな勘違いしている

お気づきの方もおられるとは思いますが、「税金を使うところ」がモズラー氏の話にありましたでしょうか。

無いんです。「税金を使う」なんていうことは。

通貨であるお父さんの名刺の出どころはこどもたちから回収したものでしょうか?違います。
そもそも名刺を流通させてこどもが手伝いをするようにさせた、スタートアップ時に出て来た名刺はどこから?

お父さんが全ての起点なのです。
お父さん(総合政府)がこども(民間)に名刺を増やして名刺を配っているのです。

税金で資金を集めて行政を行っているのではないのです。

つまり、国家に予算的制約は一切ありません。

国家がおカネを用意できるんだったら税金要らないじゃないか、となってしまいがちですが、そうではありません。
税金には通貨の単位を規定する他に、非常に大切な働きがもう一つあるのです。

景気を安定させる。
それが税に課せられたもう一つの役割です。

国家における制約とは、モズラー家の問題のように、国民の働きが弱まることです。

モズラー家の話に戻れば、はじめ家の手伝いを一切しなかった荒れ果てた状態から一転、こどもみんながマジメに取り組んである程度やりきってしまうと、家の手伝いという仕事が無くなってしまいます。

公共工事が無くなってしまうんですね。

そうなると、月末の30枚の回収が恐ろしく重税になってしまいます。
こども間で名刺の奪い合い、骨肉の争いに発展してしまいます。これがデフレ状態。

名刺1枚あたりの価値がどんどん高まってしまいます。

そうなってはいけないので、お父さんは月末の回収30枚を適正に減らします。
すると、こども間での支えあい(民間事業)で名刺がぐるぐる回るようになります

しかし、逆に月末の回収量が少なすぎると、こどもが持っている名刺があぶれてきます。
名刺があぶれてくると、月末の支払い名刺に余裕がありますから家の手伝いが疎かになってしまいます。
またこどもたちがもつ名刺の量に偏りが生じてしまいます。

これがインフレ状態です。

回収される名刺の数がお手伝いで稼ぐ量より少なければ、こども間の名刺量はどんどん増え、こども間の取引きの値段も吊り上がって行くことでしょう。

つまり、名刺の通貨としての価値が下がってしまうのです。
そうなると「家の手伝いをさせたい」というお父さんの考えは水の泡となってしまいます。

こういった状況下では回収する枚数を増やし、こども間の名刺量を減らすべきだ、というのがわかるでしょう。

税とは景気の安定化装置。
景気を安定させることが税に課せられたもう一つの役割ですと言った意味はつまりこういったことなのです。

税で行動を制御する

税にはさらに役割があります。

税を負担させるということは、その行動を軌道修正したい場合に行います。

法人税を例に挙げます。

法人税はまさにモズラーの名刺のように、法人が社会の公器として働くことそのものの動機として使われています。

営業利益が少なければ税率を落とし、より活動しやすいようにします。

逆に多ければ税負担を上げますが、これは活動を制限しようというわけではありません。
ポイントは営業利益+営業外収支他の税引前純利益に対してかかってくる、というところです。

売上ー原価=粗利、粗利ー経費=営業利益、営業利益ー営業外収支他=税引前純利益

粗利が大きくなっても経費が増大することで営業利益を圧縮できます。
ということは、設備増設するなどを促し、より高い生産性、供給能力の強化に寄与します。
実は法人税というのは、法人活動をより活発にするための様々な投資を促す仕組みなのです。
(※ただ、営業外収支などがクセモノでここが逃げ道になって就労者の賃金に反映されていないケースも・・・これは別途)

また、設備投資などが増えれば、設備に関わる受注した業者の利益になります。
社会の広い範囲に利益がもたらされるよう通貨の流れを誘導できるのです。

といった形で、基本的に民間の事業活動を後押しする形の税金になっています。

法人税とは資本の流動性を止めることに対する罰金とも言えます。
法人はおカネを貯め込まずにもっと動かしなさい、という法人としての正しい機能へ導くものということです。

逆に、その行動を抑制したいといった税もあります。

酒税、たばこ税、ガソリン税、そして消費税や今後は炭素税などといった話も出ていますね。

これらはいわゆる間接税で、これらは税の対象の氾濫を抑制するようにしか動きません。
法人税のように、別の何かと組み合わせることで節税するといったルートは無いのです。
(正確には、消費税の迂回のため、株主配当など営業外収支他で調整したり、雇用の非正規化で人件費を原価化するなどはありますが…まさに「今だけ金だけ自分だけ」の外道の所業です)

よってこのような税金は景気の安定化装置とは働かず、ただひたすらに民間から貨幣を「吸い上げる」だけの仕組みとなっています。

吸い上げられた税金の行方

「ほら、やっぱり吸い上げているんじゃないか」というご意見が出ることでしょう。

吸い上げて、税金を使ってない、となれば、

「政治家やら官僚やらの懐にチャリンチャリンと入ってるんだろう!」

といった印象でしょうか。

違うのです。

税とは使うものでは無い、とはまさにそのままの意味で、誰の手にも入りません。

ただ「消滅」しているのです。

貨幣は貸借の記録と言いました。
まさにそのまま。
借りを返したらチャラ。
貸し借り関係の消滅です。

逆に、借りたものを返したところで、むしろどこに余剰があるのでしょうか?

もう少し別の目線で貨幣の流れを見てみましょう。
(貨幣の本質とは大きくかけ離れているのですが、税の説明として視覚的にわかりやすい説明としてあげます)

湯舟を思い浮かべてください。

総合政府という蛇口からお湯=貨幣が民間経済という湯舟に貯まって行きます。

お湯が少なければ寒い(=デフレ)ので足します。
足し過ぎれば(過剰なインフレ)急に水位が上がって溺れてしまいます。
※経済においては程よく注ぎながら湯舟そのものを拡張する工事ができます。これを経済成長といいます。

溺れてしまう前に水位を程よく調整するために栓を抜きます。これが税です。
抜いたお湯は再利用するのでしょうか?いいえ、下水行きですよね。

というわけで、まとめです

まとめますと、税とは

  • 通貨の単位を決め
  • 景気の安定化を図り
  • 国家の行く末を舵取りする

といった役割を担った重要な機能なのでした。

『税金は資金として使う物ではありません。』
今回はここだけでも覚えていただければ幸いです。

以上、税の本質と役割のお話でした。
それではまた!

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