自由資本主義至上的考えは実は無自覚な共産主義

代表の佐藤です。

貨幣の成り立ち、租税の意味、銀行とは、信用創造とは、といったことを書き連ねています。

これで何を主張したいのか、と言いますとやはり「経済」についての正しい知識の啓蒙という事に尽きます。

一応、零細・末席ながら、一企業を経営する経済人の端くれですので「経済」というものに関しての『本質』を正しく理解した上で自分の経済活動を行っていきたいという思いがあります。

そのことが社員、仕入先、顧客、地域、そしてめぐり巡って日本国全体に貢献するという法人運営の責務だと考えていますし、逆に大きくは国家に、そして地域・顧客・仕入先・社員など関わる全ての人たちによって「生かされている」存在であることを自覚するものであります。

しかし世の中に蔓延する経済という言葉と、本来の「経世済民」の乖離が激しく、経済を貶め歪めているだけに止まらず、企業や個人の経済活動が偏り、大多数においては滞りと閉塞感を増し続けていることに危惧を感じています。

自由資本主義だからシェアの奪い合いが当たり前だと思っていませんでしょうか?

そもそも資本主義とは一体?

自由とはなんでしょう?

資本主義の反対は共産主義・・・ではない!

結構間違えて覚えている人が多いのがこのナントカ主義。

マルクスが唱え、レーニン、スターリンが実践し、計画経済で産業は発達せず、独裁で人民が疲弊し、ソ連は崩壊した。
一方、自由資本主義陣営は繁栄した。

共産主義は失敗した考え方で絶対悪!
資本家が行う開かれた市場経済が繁栄をもたらす!
国家は資本をコントロールするな!共産主義にするつもりか!

こういったイメージでしょうか。

しかし、共産主義と計画経済、独裁は本来ワンセットではありません。
しかも、自由資本主義を推し進めれば推し進めるほど共産主義に収斂していきます。

どういうことでしょうか。

そもそも、資本主義とは資本を用いて社会を構築し、より資本を増強していくという概念で、逆となるものは労働だけが存在する社会です。
働けど働けど資本が蓄積されず、ただひたすらに労働する社会。
すなわち狩猟採集的な社会です。

共産主義は狩猟採集社会なのでしょうか。違います。

実際には社会資本を共産的に構築していく社会です。

本来対立させるべき用語としては、『自由資本主義か共産資本主義か』ということなのです。
実は両方とも「資本主義」なのですね。

自由な市場によって資本が構築されるのか、資本家から解放された労働者が共に資本を産み、資本を独占する資本家という存在を生み出さない社会を構築するのか。

これが本来の対立軸なのです。

では、現実的に失敗に終わった共産主義はどのような様式の社会を作っていたのでしょうか。

ソ連の失敗とは新たな貴族を生み出しただけに終わったこと

共産主義を語る上で重要となるワードが「プロレタリア革命」です。

プロレタリアートとは労働者といったり無産階級と訳されたりします。
それに相対するのはブルジョワジー。資本家、有産階級といわれます。

プロレタリア革命とはざっくり言うと、プロレタリアートがブルジョワジーを打倒し、労働者による「民主的な」社会を築きましょうといった内容です。

実はこの「プロレタリア革命」の前段で、「ブルジョワ革命」という歴史が存在します。
「市民革命」と言われ、個人が社会の構成要素として、一定の経済力を持ったかたちで主体的に行動することで、貴族・領主による支配的な封建社会を打倒した、というものです。

貴族>資本家>労働者

といった階級が分断された社会から、資本家が貴族を打倒することで成し遂げられたのが「ブルジョワ革命」と言われています。この「ブルジョワ革命」は絶対王政の地域ではなく領主による封建社会で領民にも私有財産がある社会で起きました。

しかし一方の「プロレタリア革命」は帝政、絶対王政による支配構造の中で、私有財産を持つ中産階級の不在の中起こされました。つまり、ブルジョワジーとプロレタリアートの間に起こる闘争はありませんでした。

その結果、労働党という新たな貴族=共産貴族による新たな絶対王政を敷くことになったのです。

これは実は共産主義でも何でもない、共産主義マガイの絶対王政です。
その王政が、資本の形成のやり方全てを計画的に行おうとした。
共産貴族の独裁による統制社会の全体主義。
この絶対的な権力の行使がソ連を崩壊に導いたのだと言えます。

イデオロギーそのものの問題ではなく、政治手法の問題が招いた失敗だということです。

そしてこの事でわかることは、実は、プロレタリアートがブルジョワジーを打倒し云々、というマルクスの想定した事は、人類は本当の意味でまだ経験していないということです。

さらに、本当に恐れるべきは「ソ連のような共産国にするつもりか!」と言うような、明らかな失敗を恐れることではなく、たった今進行している事実を恐れるべきなのです。

全体主義の脅威は未だに健在なのです。

自由資本主義の到達点に共産主義が存在する

そもそも、マルクスは「プロレタリアートがブルジョワジーを打倒」といった言葉のイメージ通りの人為的かつ暴力的な革命を論じていません。

マルクス主義は、

  1. 資本主義社会において有産階級(資本家・ブルジョワジー)と無産階級(労働者・プロレタリアート)の格差拡大による対立的な構図が次第に進行。
  2. 労働者が単に自己の利害を守る経済的改良闘争の中で、生産手段の私的所有から(シェアエコのような)社会的所有に移り変わる。
  3. (グローバル的に)生産拠点が海外移転するなどして政府の手の届かないところへ移る(タックスヘイブン)過程で、世界的な価値基準の統一(主にダンピング)が進むことで、一産業ごとに一企業による寡占状態に陥り、実質的に供給サイドの都合で計画経済になってしまう。

といった順に資本主義体制が変貌していき、「ほぼ自動的に」革命にいたるとしています。(出展:資本論 マルクス)

統治機能を持たないプロレタリアートに代わり、ブルジョワジーが作りだすプラットフォームシステムによる無政府状態への「革命」です。

この環境の中で、人々は隷属させられていることに気づかなくなっていきます。

ブルジョワジーによるプラットフォームビジネスで、プロレタリアート側の意識に変革をもたらす洗脳革命。

「民主的で自由な意思という欺瞞」によって決められた世界においては「全ての不利益は当人の能力不足」だというところに落とし込まれてしまうのです。

これらは全て「自由」「民主主義」の名の下に今まさに現在進行系で突き進んでいることそのものです。
グローバル経済を志向するということは、無自覚にもマルクスの資本論の提唱する共産社会に向かって突き進んでいるのです。

ソ連などの失敗した共産主義マガイを恐れるあまりに、まさかのマサカ、マルクスの掌で踊っている。

世界革命。
スターリンの一国社会主義論ではなく、プラットフォームビジネスによる変形トロツキー型の共産革命が進行しているのです。

これはむしろ共産主義というより全体主義です。
民主的で自由な意思決定を行っているかのように擬態した全体主義ということです。

強すぎる企業による市場の寡占で、企業が供給を意図的に絞ることで需要をコントロールできる世界。

システムによる全体主義の完成です。

この状況は非常にまずいと言わざるを得ません。

中華人民共和国の台頭が意味するところ

その他の国々とは違い、中華人民共和国とソビエト連邦は非常によく似た性質を持っています。

大陸国家であるがゆえに、地続きの外敵から国土を守るために絶対的で強権的な権力者の元で指揮をとれる政治形式でなければ成り立ちません。

中国の場合、周の時代が例外的に諸侯に権力を分散する封建的制度を採用したことがありましたが長続きしませんでした。広大過ぎるため身内であったはずの諸侯が力をつけてしまい、中央の脅威になってしまうからです。

始皇帝は異民族の脅威(東夷、西戎、南蛮、北狄)を強力に抑えつけようとしましたが代替わりで頓挫し、日本人がとても大好き三国志の時代に突入します。

その後も延々と中華圏内における争いを続けるわけですが、西欧諸国や日本のような中央政権が領主に土地や領民の私有権を認める封建社会というのはついに成立しませんでした。

ソ連が成立したロシアの地は16世紀までは小国が寄り合った土地でしかないものでした。
北方・東方の氷に閉ざされ逃げ場のない不毛な大地と、やはり常にバルト三国やオスマン、モンゴルなど地続きの外敵の脅威に晒され、それに対抗する形で中央集権化した統一国家としての帝国が機能したのが17世紀。
それもやはり帝政でした。
(ソ連崩壊後のロシア連邦も、各国に一部主権があるような連邦としながら実のところはロシア帝国を継承しています)

四方が海である日英、南北が脅威でない米国のような海洋国家、ローマ法王に封じられた小国の集まりでしかない緩い中央集権的国家群であり自由な海への経路がある西欧(あのローマ帝国でさえ皇帝はローマ法王によるご威光が無ければ成立しませんでした)という封建社会を構築できた国家たちと、中華・ロシアのような四方敵だらけの一国巨大大陸国家とはそもそも性質が異なるのです。(出典:文明の生態史観 梅棹忠夫)

よって、中華人民共和国とソビエト連邦はスターリン方式の一国社会主義と非常に親和性が高いのでした。

しかし、中華人民共和国は隣接する他民族国家を「教育」と称して征服し、すでにスターリニズムの一国社会主義を成功させつつあり、もはや次のフェーズへ移行しつつあります。

一党独裁を維持しながら市場経済を導入するというのは、一般的に矛盾を感じるかも知れませんが、先に書いたトロツキズム世界共産革命の流れを考えると、実は自然と考えられます。

鄧小平や習近平をして「中華人民共和国こそマルクス主義の正統な実践国である」といった言説はまさに的を得た発言であると言えるのです。

日本の言論の一部では中国崩壊論など20年近く言われ延々とハズし続けていますが、おそらくそれは永遠に起こらないでしょう。

戦後から90年代前半までジャパンアズナンバーワン時代の日本が行ってきた「成功した社会主義」路線を継承し、またそのバブルの発生と崩壊を綿密に研究しており、中央政府共産党の独裁による意思決定の速さがそれを強力に制御できる体制を構築しているのです。

米国主導のグローバル企業による席捲と同時に、こちらもまた、中国共産党という「貴族」による世界統治を狙っています。

つまり、現在の米中の争いは、自由資本陣営と共産陣営といったイデオロギーの争いではなく、両方とも世界革命後の覇権、全体主義を争う「内ゲバ」であるということなのです。

ブルジョワ貴族の変形トロツキズム VS 共産貴族陣営の正統トロツキズム

いつの間にか、すでに世界に全体主義というガンが喉元近くまで浸潤してきているのです。

国家の介入=共産ではない

ここまで読み進んでいただければ、マルクスの提唱した共産とはいかなるものかご理解いただけたかと思います。

計画経済というものが共産の必須項目ではないし、
自由経済というものが共産の正反対の概念でもない、

ということを示しました。

イデオロギー論争の中で出てくる右だ左だといった話もあります。

自由とはどちらの概念だと思いますか?
多くの人が右だ、と答えるでしょう。

不正解です。

元々は左、つまり革新的な概念なのです。

左の勢力はよく国家に対して補償を求めます。
それは、自由を求める革新勢力が、とはいえ何でも自由であると生活が成り行かない事態に直面し、国家に補償しろ!としたのがはじまりです。

しかしそのような経緯もわからず、国家権力を非難し、あまつさえ無政府主義を気取っているという滑稽で先祖返りな光景が現在です。

一方の右、保守勢力にもかなり歪みが発生しています。

上記のように自由を指向し、すべてが「システマティック」に自然の成り行きで市場に任せることが民主主義である、と勘違いしています。

上の「自由」でも述べましたが、システマティックを指向するのは元々革新勢力なのです。

保守が求める民主主義とは元来「合議」です。

合議とはいわゆる武家のしきたりです。
中世の日本でも欧州でも封建制を採っていて(当時は封建制を採りますとは言わないしそんな概念もありませんが)、日本では征夷大将軍とは言っても各諸侯はそれぞれの「邦(くに)」の主ですから、お願いをして合意してもらうことが必要でした。

その時の合議するにあたって必要だった考え方が「御恩と奉公」です。
主従の間柄でも、それは一方が一方に利益をもたらすものではなく、主側が従側に御恩をくだし、従側が主側に奉公で返す。

御恩なしに奉公はありえませんし、奉公が先で御恩が後では順番がまるで違います。

御恩とはつまり国家による救済です。
それなしに奉公は返す義理がありませんし、そもそも返せません。

これはまさに経世済民の概念と合致するものです。

このように、イデオロギーに対する感じ方、考え方が捩じれ、歪み、知性の劣化が甚だしいのが現代です。

情報の歪みを正すことで、「そもそもこの問題はなんなんだっけ?」といった原点に戻ることができます。

現代に蔓延するファストで安易に手に入るジャンクな情報はいくら脳に詰め込んでもジャンクでしかありません。
ぜひ正しい知識を指向し、スローで深い思考を以って、本質的で幅広い議論をしてください。

真に恐れるべきは共産主義といった単なる手段の話ではなく、「特定の意思による独裁」と、またはそれと同じ水準で進行する「暴走した自由」による、経世済民の意思の無い『全体主義』です。

誤りなきよう。

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