代表の佐藤です。

2021年4月1日より消費税総額表示が義務化されました。

弊社は基本的に事業間取引きですので対象外ですし、外装のリフォーム工事で直接のお客様の場合も、そもそもお見積書で総額を表示しておりますので特に影響が無いと考えています。

しかし、飲食など消費者への直接取引きをしている事業者さんには多くの影響があるでしょう。
主にマイナスの影響です。

国税庁のWEBサイト(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6902.htm)で「総額表示の意義」という項目がありますが、意義の説明はなく「こういうものです」という「内容」と、「こうなったんだからこうせい」という「上意下達」しかありません。

※毒
「意義」という日本語はどこへ行ってしまったのでしょうか。
「意義」とは、これを行うことによる「義」を示す言葉です。
それを国税庁は示していません。
官僚は国語が不自由なのでしょうか。
※毒おわり

この消費税総額表示、消費者サイドの意見として、実際に払う金額がわかりやすくなるといったメリット(?)はありますが、それ以上のことはありません。
そもそも消費税とは消費者が払う体であるわけですので、事業者が提供する財・サービスの価格というのは本質的に税抜き価格です。
税込み価格で表示せよというのはかなりの暴論、権力による暴力といえます。

この消費税総額表示義務化で、税込みの価格が事業者の提供する財・サービスの価格である、という事がより鮮明になりました。

どういうことでしょう。

以前書いた税は使う物ではないという記事の中で消費税について少し触れていますが、

消費税とは実は消費者が支払っているのではなく、事業者が「利益を削って」支払っている事業税である、という純然たる「事実」がまさに目に見える現実として吹き上がってきたのです。

今後税率を上げても、事業者は値段を据え置きにすることが増えるでしょう。
税率上昇分を吸収するのは事業者の粗利です。

消費税総額表示義務化とは、事業者窮乏化策に他ならないのです。

なぜこのようなメリットが無く、デメリットしかない事を行うのでしょう。

隠された意図を丸裸にしていきましょう。

消費税によって非正規雇用化が促進されている

経営、経理がわからないとちょっと煩雑かも知れませんが、さほど難しいことでは無いので、前提となることをちょっと説明させていただきます。

以前書いた記事と重複になりますが、消費税とは「粗利」にかかってくる税金です。

粗利とは事業者の売上から仕入れ原価を差し引いた額で、そこには従業員の給与や広告費などは含まれていません。

従業員の給与などはその粗利から経費として支払われ、粗利から経費を差し引いたものを営業利益。
そして、その営業利益に不動産や金融資産による収支を加算したものが税引前純利益となります。

法人税はこの税引前純利益にかかってきます。

ここまでが以降の説明の前提知識となります。

さて、90年代の消費税導入以降、消費税は増税し法人税は減税されてきています。

消費税は安定財源だ、とか法人税を下げなければ企業が海外に流出する、などという明らかな「嘘」がまかり通り、これらの税制が歪め続けられてきました。
税はそもそも財源ではありませんし、企業が海外に流出するのは主に市場開拓や取引企業の海外移転、労働力の確保などの問題であり、税が低いだけで海外に進出するということは無いということが、海外進出を考える企業へのアンケート(帝国データバンク 2011年10月25日 海外への進出意向に関するアンケート調査)でわかっています。

ではこのような「嘘」によって、どのように歪んで行くか。

まず法人税サイドのお話。

税引前純利益にかかる税率が低くなることで、余剰利益を貯め込むことが容易になりました。

「利益を貯めることはメリットじゃないか」

と「おカネがモノである」という誤った解釈ではそのように感じてしまうと思いますが、貨幣は流動することそのものが価値であって、どこかに滞留することは何も世の中に貢献しません。

おカネの本質については以下の記事をご覧ください。

しかし現在貨幣についての情報が歪んでいるために、おカネを留めておくことに対するインセンティブが過剰に高まっているのが実情です。

企業にとって経費を使わないことが正義のようになっていますので、経費に含まれる人件費や設備投資などは抑制されて行きます。
過去の先人たちの投資によって、当面資本をさらに投じなくてもこれまでの資本で利益がでていれば良い、これまでの資本をより効率的に使って行こう、という思考になって行くのです。

効率的に、というと良いことのように感じるでしょうが、結局のところケチケチしているということです。
より資本を投じればより多くの価値が世の中に提供できるものをしなくなっているのです。

つぎに消費税サイドのお話。

消費税率が上がると純利益の源泉である粗利から税金が吸い取られてしまいます。
法人税のところで話したように経費をいくら抑えてもゼロにはなりませんし、その元となる粗利から消費税で奪われたあげくに経費でもおカネが減って行く。

そこで、経費の原価化が進められて行くのです。

具体的に言うと、人件費の原価化、つまり個人事業主化や派遣社員化などの正規雇用者の非正規化です。

非正規つまり外注となると、経費の人件費(給与、健保、福利厚生など)をゼロにできる上に、粗利を圧縮できるため消費税の納税額を大幅に減額できるのです。

大企業は消費税も法人税も払っていない事実

消費税は事業税と書きました。

企業側が人員の外注化を行うという事は、非正規労働者側へ消費税の支払いを押し付けることになります。
企業側が労働を買うという「お客様」の立場になっているんですね。

どうですかこの歪みっぷり。

社員を個人事業者や派遣に切り替えるような大企業は、消費税も法人税も払っていないのです。

これがまさに消費税増税が法人税減税とセットで推進されてきたカラクリです。

歪んだ税制を促進するのは誰か

この効果は、規模の大きい企業ほど「おカネを貯め込むという利益」を享受しやすくなります。

さらに上場企業であれば、企業の純利益からの配当などで株主に入るおカネが増えます。
事実、売上は横ばいながら純利益を拡大している大企業でも、従業員の給与は1割減、役員報酬は3割アップ、配当金はなんと6倍です。

日本の資本金10億円以上の企業の売上高、給与、配当金、設備投資等の推移(97年=100)

つまり狙いは「そういうこと」なのです。

一方、事業規模が小さいところほど、経営者・従業員一体となり、一人ひとりの事業への没入度・依存度が高いため、非正規化のメリットはほぼ受けられません。

虚業に実業が吸い取られる構図。

非常に偏った、歪んだ税制である、と断言できます。

※毒
『義』などどこにもありません。
あるのは『利』だけです。
孟子は羞悪の心が義の端であると説きました。
羞悪の心とは、悪すなわちわるく・劣り・欠け、あるいはほしいままに振舞う心性を羞(は)じる心のこと。
国税庁、恥を知れ。
『義』を示してみろ。
※毒おわり

これは大企業憎しといった感情の話ではありません。

弊社も当座の運営資金をある程度貯めておかないと成り行かないというのが本音です。
企業のせいではなく、景気が上向かない現実がそうせざるを得ないということなのです。

強きを助け弱きを憎む現政権

経済とは、何度も書き連ねるようですが自然現象ではなく政治の役割です。

昔、「景気の気は気分の気」などと無責任な発言をした政を弄ぶ「政治屋」がいました。

自由市場至上主義というカルト原理主義を指向し、経世済民をせず、どんどん貧しくなる日本において

  • 「強くあらねば人に非ず」とばかりに自己責任を押し付け
  • 「強い中堅企業を作る」という耳当たりの良い美辞麗句で中小零細の合併、淘汰を促進して、M&A事業者に利益を誘導
  • 自分の能力で給料アップなどと欺瞞だらけのコマーシャルで雇用の非正規化を促進、特定の派遣企業と大企業の利益を拡大

と、ますます棄民亡国路線をひた走らせています。

全ては「経済」というものについて、あらゆる前提を間違えているために起こっていることです。

これが「民主主義」の恐ろしさ。

民主主義を機能させるにはすべて国民がまさに『哲人』となり、その哲人による統治=国民主権を成さなければなりません。

民主主義が完全で賢明であると見せかけることは誰にも出来ない。実際のところ、民主主義は最悪の政治形態と言うことが出来る。これまでに試みられてきた民主主義以外のあらゆる政治形態を除けば、だが。
-ウィンストン・チャーチル.

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