代表の佐藤です。
先週は「バブル」についての説明をさせていただきました。
虚像が虚像を生む、合わせ鏡のような構造というものだったのですが
虚像に対する「実像」とは何かという事を理解し、もはやスタグフレーションへと突き進むこの世の中を、パニックに陥らずに冷静に分析をしていきましょう。
結論:実像=実体経済とは「価値」を生む経済
「価値」のお話をしなげればなりません。
価値というと何となくはわかるといいますか、今さら説明要る?といった印象を持たれるかもしれません。
では、以下の2つの例の比較はいかがでしょう。
とある銅細工職人むけに銅の材料を販売している銅材料卸業者さんがいます。
銅は相場が乱高下しますので、相場が安い時に仕入れて、相場が高い時に売るとこの業者さんには粗利益が多くなります。
相場が800円の時に仕入れ、相場が1200円の時に売る。
当然商売ですからそこに手数料その他自分のマージンも乗せます。
とある生鮮食品業者さんがいます。
生鮮食品は相場が乱高下しますので、市場でより良いものを競り落として仕入れてきます。
当然「生鮮」ですから長期在庫はできません。相場の上下を待っている事はできません。
商売ですから仕入れた額に対して手数料その他自分のマージンを乗せて販売します。
上の2件について、
共通点は市場から仕入れてマージンを乗せて売ることです。
違いは、おわかりの通り「相場」の期間です。
この「業者さんが」生み出している「価値」はどこでしょう。
利益の全てでしょうか?
じつは違うのです。
銅材料卸業者さんが生み出している価値はマージンの部分です。
銅の相場によって生まれた差益は銅材料卸業者さんの努力によって生まれたものではありません。
これはキャピタルゲインといって「価値」を創造しているわけでは無いのです。
安い時期を狙う、長期保存する、高くなったら売るといった「努力」はもちろんあります。
しかしその「努力」は、販売先の銅細工職人さんへの「価値」ではありません。
銅細工職人さんにとっての価値とは、銅の材料が手に入るという供給的・流通的側面なのです。
とはいえ実際の経理上、これも付加価値としてGDPに計上されます。
相場の動きが激しく、厳密に区分けすることが難しいですから。
実体経済上「価値」である、として処理されてしまっている、と言えるのです。
実体経済の中に「価値の虚実」が入り混じっていて、非常に難しいのです。
実像と混ざり合ってしまった虚像を無限に膨らませないようにするための苦肉の策が法人税・所得税のような累進課税なのですね。
税率というのがある種、虚像の混合率と比例していると考えて差し支えないでしょう。
それを理解している政治家・官僚がどれだけいるかどうかは甚だ疑問ですが。
どちらか極端な至上主義に陥らないように
いわゆるこの正味の価値を生み出す労働至上主義が共産主義になります。
しかしこの正味価値至上主義は放っておくと価値そのものより労働自体が大切となり、技術発展は阻害され、労働自体の質も低下します。
そして虚像を膨らませることで、価値の総量を増やそうとしているのが自由資本主義です。
価値の総量は増えますが、膨張して崩壊する虚像の暴走が恐慌を生み出す危険性を持っています。
どちらも「毒」を持っているが故に、お互いを禁忌のように争い合いますが、あまりに潔癖すぎるのはそれもそれで病的です。
今後もしかするとデジタルトランスフォーメーションが進み、デジタル台帳によって全ての取引きが時系列で追跡できるようになると、実際に生み出した価値とキャピタルゲインなどが分離でき、それぞれに対する税の徴収ができるようになるかも知れません。(実際問題それはできないでしょうが)
毒薬変じて薬となる
薬も過ぎれば毒となる
使い方ひとつということかと思います。
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