デジタル通貨と仮想通貨は全くの別物です

代表の佐藤です。

最近経済ニュースなどで「デジタル通貨」という言葉が飛び交っているのはご存知かと思います。

中国ではデジタル人民元を運用開始したと報じられており、アメリカFRBもデジタルドルの技術的な問題や安全性などを研究しつつ、デジタル決済に向けた取り組みを前進させています。

これについて、かなり曲解した報道をしているものが見受けられるため、正しい知識を身につけておく必要性を感じています。

デジタル通貨=仮想通貨ではない

デジタル通貨と聞いて、おそらく多くの人が連想するものに、ビットコインをはじめとする仮想通貨があると思います。

報道もこれを混同して、人民元は中国政府主導の仮想通貨である、などと報じているところもあります。
しかしこれは通貨というものが本質的に理解できていないために陥る誤りです。

通貨というものの本質については以前記事にしています。

元々通貨というものは貸借の記録であり、その記録・データを紙や貴金属という媒体に記して流動性・可搬性を持たせたものです。
そして、銀行というものが一般的になった近現代においては、振り込みなどによって、いわゆる紙幣・硬貨を介さずとも決済を習慣的・現実的に行っています。

つまり通貨とは元々デジタルデータなのです。

そしてその単位を後ろ盾にするのは国家が持つ権限の徴税なのです。

人類はこの本質的な貨幣概念を忘却し、苦しんできました。
単に貸借の記録を保持する媒体であるだけの金・銀などの採掘量が、現実的に生み出される財やサービスに対して不足することで不況にあえいだり戦争を引き起こしてきました。

貴金属が価値のあるもので、それを欲しがるために労働する、といった概念です。

しかし、生物本来の欲するものは生存への欲求です。
衣食住という生存するのに必要なものを満たすための労働が先にあり、提供しあうお互いの労働の尺度・点数として通貨があるのです。
(※このように労働にフォーカスしてしまうとマルクス主義のように思われてしまうかも知れませんが、あくまでわかりやすい例を挙げているに過ぎません。要は「価値」は貴金属にあるのではなく、実際に受け取る便益こそが価値であるということです。)

仮想通貨はこの貴金属主義を根源とする概念です。

貨幣はみんなが欲しがるからとして成立している、といった商品貨幣論。

そして、それは完全に因果関係の転倒した誤った考え方なのです。

仮想通貨が通貨でないことは自明的に証明されている

通貨とは尺度です。
これに異論をはさむことはほぼ無いのではないでしょうか?
財やサービスへの対価として通貨を使用する際に、瞬間瞬間で通貨の交換性能が変わってしまっては商売が成り立ちません。

もちろん、為替で対外国通貨との比較価格は逐次変化していますが、国内での値段はそのような時間軸での上下はありません。

対して仮想通貨はどうでしょう。

常に仮想通貨自体価格が上下しており、商品に仮想通貨の単位での価格はつけられません。

実は仮想通貨という言葉は「通称」で、法的には「暗号資産」と呼ぶのが正式名称となっています。

つまり、法律上も株などの債券や金・銀など貴金属同様の資産と定義されているのですね。

株券や金の延べ棒でお買い物ができないように、仮想通貨(暗号資産)でのお買い物はできません。
もちろん、納税もできません。

納税する単位は日本であれば「円」です。
そこが規定されているために、お店でお買い物する際も「円」での決済を行うわけです。

そもそも、「資産」の価格の単位は法定通貨によって決まってきます。

仮想通貨(暗号資産)を通貨であると説明しようとすると、必ずこの法定通貨による価格付けという循環論法のループに嵌ってしまいます。

そしてこれは仮想通貨のみならず、金・銀にも同じことが言えます。
金・銀だから通貨なのではなく、通貨でその金額がつけられている資産である、というだけのことなのです。

ではなぜ米中はデジタル通貨を急いでいるのか

これは多岐にわたります。

米中はコロナからの復興により、現状かなりの高成長をしています。
高成長とは需要の増加に合わせた供給能力の増加を意味します。

その供給に合わせた通貨発行が台帳上記帳されているにも関わらず、紙幣や硬貨の製造が間に合っていない事実があります。
特に「銀」が不足しているようですね。

先に書きましたように、決済を行うのに「銀」は必ずしも必要ではありません。
単に取引間の通帳同士で金額の増減を行えば良いだけの話です。

また、いわゆる租税回避・タックスヘイブンの防止的側面があるのではないでしょうか。

デジタル台帳化することで、すべての取引の履歴を監視できるようになりますので、税の取りこぼしを防ぎたいということなのでしょう。
もちろん、税は政府支出の財源ではありませんが、正確に税を徴収することができないと、政府支出に対する効果が出すぎてインフレを制御できなくなってしまいますから、正確な通貨流通量を測る意味で紙幣・硬貨の代替としてデジタル化をしたいのでしょう。

また、いわゆる資金洗浄(マネー・ロンダリング)の監視・防止も目的でしょう。

国際間の決済のコスト削減のため、という報道はありますが、それはありません。
先に述べたように、為替はすでにデジタルですし、為替があることで国家間の供給能力の盛衰を調整しています。
グローバル単一通貨ではその安全弁が無くなってしまいます。
EUのユーロ圏の歪みがまさにそれなのですが・・・
為替についてはまた別の機会にしましょう。

繰り返しになりますが、ミスリードに気をつけてください

貨幣の本質というものを、まだまだ報道側や経済評論家、(自称)知識人の間でも認識が誤っている現状があります。

各国がデジタル通貨を推進しているから、といって安易に仮想通貨=暗号資産に手を出さないよう、資産運用の知識や覚悟を持って臨むよう心掛けてください。

仮想通貨はあくまで債券・有価証券です。
いつまでも通貨になることはありません。

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