みなさま、こんにちは。北川です。
先日悲しい知らせがありました。
今週26日火曜
小学館より赤目プロの白戸三平さん、岡本鉄二さん訃報が
発表されました。(ビッグコミック編集部からの通達)
白戸さん享年89
ふたりは実の兄弟でしたが4日違いの辞世。
白戸さんは
かの有名なカムイ伝(青林堂ガロ~ビッグコミック連載)
筆者として50年ものあいだその名を馳せました。
忍者武芸帳影丸も有名ですね。

 

刀剣ワールド】白土三平

カムイ伝とは
忍者であるカムイを軸に
江戸時代の農民たち周辺の生活を描いた
哲学的要素を含む大大大長編スペクタクルで
日本史秘史といってもいいフィクションです。
細部の描写はおそらく当時の出来事を文献から
ひろいだし再現したといわれています。
70-80年代の呉智英さんら
漫画評論の対象でも有名であり
「唯物史観」の体現として物語の多面性が
よく引き合いに出されました。
作画のスピード感、
登場人物の人間関係、死生観
すべてが多層的でリアル。
白戸さんの発案そのものが
画期的なプロットで、人のこころを掴んで離さない
魅力があります。劇画のまさしく最高峰です。
横山光輝三国志に肩を並べるくらいの。
個人的には池波正太郎さんの長編に匹敵すると
すらおもっていますね、剣客商売だとか。
藤沢周平さんとかも。
わたしがおもうに
この物語のとてつもない長さ。
恐れおののき平伏すばかりです。
折しも先日没したさいとうたかをさんは
一話完結の漫画を量産しましたが
スピルバーグのSWのようにカムイは
最初にプロットが1部~3部まで頭の中にあり
プラス外伝のさしこむ順番まで
決めていたとされます。
スピルバーグ以上の
年数をかけ計画実行していき
90年代以前は経済的成功も収めかつ
映画と違い、スモールユニットで作画を
こなしたところに感服するしかないのです。
多くの商業漫画というのは
日本では週刊/月刊雑誌で
まずは作品発表されます。
(コミケ用作品を除く商業ベースのケース)
編集者はつねに内容がウケるかを
ネーム(下書き)のチェックからダメ出しを
しては入稿までに無理くり直しを間に合わせ
させます。作家はあたかも奴隷のようともいえます。
金銭的見返りはありますが
連載の人気が陰ると容赦なく
ばっさりお払い箱にされるとんでもないトレードオフです。
神様とあがめられた、かの手塚治虫さんでも
幾度か歴代編集者ととっくみあいの喧嘩をしています。
それくらい大手出版社の編集者にはやくざばりの
差配力が求められます。やくざでないと連載に穴が
空いてしまうからです。休載=印刷減ページ。
多くの人気漫画作家はマネージャーを抱えており
締め切りまでの時間管理、先々仕事の調整をしています。
赤目プロでは劇画ならではの作業の多さから
複数の有名アシスタントをかかえて
毎号の原稿入稿スケジュールを守っていた
わけですが、あくまで人物のセリフ(ふきだし)と
動きをきめるのは白戸さん発案にもとづく
弟さんの作画というわけです。
さいとうプロもそうですが、まるで休業なしの工場の
ようなものです。。。有名な話ではこち亀のあとりえ
ビー玉だけはタイムカードがあり定休日を設定している。
それくらい事業化したという秋本社長の手腕はスゴイ。
話をもどしますと
忍者たちがまるで特攻の拓のように
大けがを負うのですが、そこはフィクションなので
リカバリーはぼやかしています
忍者の持つ殺傷能力の高さ、
武道に通じる勝負の真剣さには
作画の目の動き、表情を毎回矯めつ眇めつ
眺めては感心するばかりでした。
絵の妙、ラフな線画なのですが
感情や緊張感の描写がとても絶妙なのです。
それと武士ではなく、百姓以下の市井の人たちが
江戸時代にどのような死生観をもっていたのか。
かなり絶望しかない生活で、諦めない幾人かの
キーパースンがなんともいえない。
穢多の与一とか。人命が身分制度によって農民以下
鴻毛のように軽かった、中国のような圧政の時代の
あいだ民衆(と非人であった忍者)がなにを考えて
いたのか。蜂起のリーダーとはどんな人物でどんな未来を
思い描いていたのか、歴史の教科書で事実とされている事象
以外の背景が物語として魅力的です。
映画をこえたと、当時は小学館もブームを煽ったものです。
とまあ
散々ぼやかして描いていますのは、ぜひとも、、、
やはりkindleでも結構ですのでこの文章を読んだかたにも
漫画をご一読いただければ白戸さんたちご供養にもなろうかと
おもうわけです。けして損はさせません。
惜しむらくは第三部まで構想はありながら
未完の絶筆となってしまったことです。あまりにも物語が長いと
このような突然の幕引きが来てしまう一例です、、、
白戸さん、岡本鉄二さんへつつしんでお悔やみ申し上げます。
そしてさいとうたかをさんにも。
合掌。
以上、毎度拙文ご精読を有難うございました。
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