みなさま、こんにちは。北川です。

 

先週ひさしぶりにロードショーを見ました。そのはなしをします。

「ジョーカー」でオスカー主演男優賞を獲得したホアキン・フェニックスが主演「カモン カモン」マイク・ミルズによる脚本監督です。
2021年作品現代劇なのですが、全編モノクロフィルムで撮影されています。
光と陰影がホアキンと共演する男の子の表情を魅力的にひきだしています。

 

何を隠そう、モノクロ映画を見に行くと開始30分でことごとく寝るという不文律があり。
毎回時間とお金をむだにしてきたのですが、、、

今回は目薬とフリスクを握りしめ、ウディ・アレン「セレブリティ」(でガン寝して)以来無念のあまり避け続けてきたモノクロをみる決心をしたのです。

 

といいますのも

ホアキンは、デ・ニーロ全盛期のような現代最高の役者(のひとり)と考えるからです。
けしてセリフ回しは上手くなくとも。。

 

みなさんご存じの夭折した兄リバー・フェニックス、姉スカイと家族5人でプエルトリコからアメリカ西海岸に渡ってきて子役から続けてきた役者のキャリアはながいですが、40代になりグレイヘアになってから次第にくたびれてきた体形、顔の皺、白い髭。
燻し吟のたたずまいで好みです。プレゼンスがじつに画を引き締める。

身長173㎝と小柄ながら憂いをたたえた目線。
ゴッドファーザーでの一躍スターダムに上り詰めたアルパチーノ的演技、目配りを思い出させます。

今回はジョーカーで魅せた狂気から一転。
甥っ子を慈しむ普通のおじさん役であっと言わせてくれます。

 

あまりネタバレせぬようかきますが、正直この映画は「事件」がおこらない普通の日常を描いたもの。
かつ、主人公のホアキン扮するジョニーはジャーナリストで劇中子どもたちにインタビューをひたすら続けるきわめてまじめなおじさんの役なので、ジョーカーのアーサー役の強烈な印象からすると天と地の差があります。

もう一人の主人公、9歳の甥っ子との会話がこの映画の肝です。

 

うちの息子と劇中の甥っ子と年齢が近いので片親の思春期男児のリアルな様をみては、他人事とは思えず子どもにより夫々異なる育児のたいへんさを個人的に改めて感じました。真剣にやらなあきまへんな。

 

あまりにまじめなセリフ、身のこなしばかりなので本当に普通の日常。

9歳の小学生からすると行ったことのないニューヨーク、ニューオリンズへLAから急に旅するのはまったく「普通」ではないのですが、中年男性の視点からすると普通の移動です。

結婚しておらず、育児の経験がないジョニーは思慮深いジャーナリストとして、子どもへのインタビューを「仕事」として甥っ子ジェシーの面倒をみる合間につづけます。

 

この映画の多重性は、ジョニーの「仕事」と甥っ子の面倒をみる「私生活」とどちらも子どもの気持ちや考えを対話で引き出していく行為が並行してつづいていくところに、プロットの妙があります。

 

最後、母親がようやくジェシーの住む家へ戻れることになりジョニーのところへ迎えに来ます。

それぞれが日常にもどるまえの別れのとき、ジョニーと甥っ子ジェシーはよそよそしかった最初のころとうってかわり1週間のあいだに愛情が存在するので名残惜しい会話をします。

 

仕事のインタビューでジョニーは会話を「録音」します。まだ会ってまもないときに録音データはそのときの感情や息遣いを永遠に残せる、彼はそうジェシーに説明します。

 

すると、日常で会話したこと、一緒に遊んだことはすぐ忘れてしまうのか。

 

そんなことはない、きみと過ごした時間は一生忘れない。

 

叔父さんがめったに会わない甥っ子と疲れ果てながらも一緒に毎日遊んで、会話して過ごした特別な日常は大切な記憶になった。この会話中の表情がホアキンの真骨頂です。

 

そう簡単にわかりあえない(自分以外の)他者とも自分自身のことばで対話してきっとわかりあえるはず、そんな逆説的願いが全編に横たわるおおきなテーマなのかと感じます。

 

静かで平和な生活がいちばん。甥っ子ジェシーにジョニーはそういいます。

あまりにも普通で映画の登場人物としては全く面白みに欠くセリフなのですが、そんな彼は仕事でひたすら、さまざまな子どもの気持ちや考えを聞き取って彼・彼女らの将来への希望の言葉を掬い取っていきます。

ジャーナリストなのでアクティビストと逆に、人の考え、意見、感情を丁寧に拾い上げ言語化して第三者として伝えるのが役目なのですが、そんな彼のいう平和な生活が搔き乱されても、最後は甥っ子に本当に愛おしいと伝えるのが役者の技術であるなあと思わされます。脚本演出とあいまって。

(本作ではラジオ用インタビューの設定なので、映像ではなくあえて音声のみで再現前提)

 

普段、演出やギミックをこらしたハリウッド映画に慣れている身からすると、ドラスティックな出来事がまったく起きない地味な映画なのですが、子どもとのコミュニケーションをじっくり考えてみるにはいい機会とおもいます。

 

以上、ジーンズをはかないホアキンのプレップなファッションセンスは最高。でした。

お時間あれば108分の佳作、鑑賞をおすすめします。寝ずに観れました。

 

 

毎々拙文ご精読を有難うございました。

 

 

ホアキン・フェニックス - Wikipedia

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