みなさま、こんにちは。北川です。
過日。エンジニアである友人R邸でまたまた談論風発、深夜に「落語」のなんたるか、我々はなぜそれを好むのか、芸能としての良し悪しについて延々会話をしました。宅飲みの醍醐味ぞ
Rは仕事でデンマークにいたおよそ10年前、数少ない御当地の日本人として(ハーフですが国籍は日本)日本語をあまりつかわない生活をしていました。
Rはポルトガル語と英語を自由につかえますが、やはり日本で育ったため日本語の本をよく読み、日本語で表現される日本人としての精神構造をあたりまえとおもう人物で、意外やうつくしい適切な日本語にこだわりをもつほうです。そこで夜な夜な桂米朝、三遊亭圓生を繰り返し聴いて「(江戸時代の)日本人のこころ」を異郷で確認する時間をたのしみにしていたそうです。
デンマークに5年いて、日本のはるか外から日本語、日本のよさ、うつくしさに思いをはせたRの気持ちは辛うじてうっすらわかります。
個人的にはいままで落語をきいていて「日本人のこころ」の在り方が名人の高座にあらわれるとおもったことはなかったので、その説明には少々おどろきました。これすなわち柳昇や三平などの「新作落語」は本件対象から除外されます。
立場と環境が変わると、なかなか同じ感情は抱きにくいものです。ただしRが夜中にきれいな日本語を繰り返し浴び、望郷とアイデンティティの確認に沁み入った記憶の説明とは、普段考えもおよばない古来日本人固有の精神を汲み取れたとのこと。なるほど。としかわたしの立場からは言いようがありません。こんどハワイでもいったなら試してみよう...
日本語のうた、伊東ゆかりさんのヒット曲をうたい望郷の念をはらしたはなしを聞いたことはありましたが、これはおなじことなのかなと。海外生活の長いRならではの弁です。爾来、日本航空では海外寄席公演をながらくアフリカやヨーロッパで駐在員むけに企画主催してきた歴史もあり、「落語」と海外で活躍する日本人とは実に縁があります。歌舞伎より公演の実現はお手軽ですし、講談と落語は機内放送でも毎度おなじみであります。人気番組かどうかははたして。。
Rはそのよるの会話で、桂米朝さんの端正な高座/発語が日本人である自分、昼間日本語をつかわない生活での自分を落ち着かせてくれた。洗心のような時間を過ごせたといいます。 そんなRにいまや日本で日テレ・笑点以外で落語家の(八面六臂)活躍なんてものはなく、ほっとけば自然消滅する芸能なんだよ...。数多のプロたちはそう思ってるよ。そのように説明すると。
「いや!そんなことないだろ、、まさかね!?」
というので一之輔さん、志らくさんの例外たる事情を説明し、ではでは今度寄席にいってみてみようか。そうはなし括りまして寝ました。R邸には来客用ベッドがあります。
さて。
以前本稿で「(素人にとり)落語はなにが面白いのか。どうしたら楽しめるのか」という考察をしました。友人が漫才と比して最後わらえるオチがあればなあ(すかっと笑えない)と評したことからふと考えたという経緯でした。
先日のRと会話した内容は、落語がおもしろいかウケる話かというとらまえ方ではなく、日本人のこころを表現した古典芸能(ただしカジュアル)に触れ、オーソドックスな江戸文化における会話から自己の再確認、心の安寧を得るというシーケンス。
ただし名人、有名芸人以外はじつに仕事を得る、収入をふやすのが至難な業界であります。通たちはほっておいても寄席や独演会等にいらっしゃるのですが、そんな人数はたかが知れております。高座からも見知った顔、馴染客は数えられるくらいといいます。現在、たとえば300名のホール落語を満員にできるのは 喬太郎、志の輔、白酒、一之輔各位くらいなもの。大御所の 市馬さん花緑さん雲助さんでも独演会では完売むりではあるまいか。一門会でなんとか
集客人数だけが技量のバロメータではありませんが、細々と息の永い活躍を普段の日常のようにつづけていくのがこの道なのです。毎月の都内寄席の番組をみているとそれはよくわかります。派手さというのはないんです笑 インパクトやスター性をもつ彗星など望むべくもない。
フォーマットが似た古典芸能である講談師の神田伯山先生がいっきにスター街道を上り詰めたのは、ほんとうに稀な奇譚におもいます。御本人も予想外ではあるまいか。このような市場のちいささを指して、いづれ自然消滅するのではないかと述べたわけで、この懸念は5代目談志が存命中つねに警句として発していたころから変わっていないきがする。それでも協会、芸協に弟子入りしてくる落語好き、マニアは毎年10名くらいはいましてその年の物故者よりは多い。
高尚な芸能ではない、世襲でもない落語家はだれでもその門をたたくことはできます。その証拠に、談志は弟子入り志願者をことわったことはないそうです。もちろん、家元の旅のかばん持ちが死ぬほど辛いなどまだ知らないから入ってくるわけです苦笑
プロたち側の事情は夫々ありますものの、師匠連の江戸落語・上方落語の感動する噺を聴いては人生を賭けて新弟子はくるわけです。ほんとうに命や全生活を懸けるようなもので、そんな至高の芸にたいして友人Rは「日本人のこころ」「真心」をつよく感じたんだよな、、とおもうのです。
一見ふざけた人が多いのもこの業界の特徴におもうのですが、人のこころを動かすことができる、単なるお笑いを超えることもできるのが古典落語の真骨頂なのかなあ。Rにむかってそう説明すると、名人は死んでも「至芸」は永遠にのこるよ、そう答えてくれました。まさしく、そのとおりなのです。
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