洛中の公家紳士

みなさま、こんにちは。北川です。

洛中は南区九条の東寺（世界遺産）ちかくに実家があるご近所のDさん、下のお嬢さんがせがれとおなじ中学のおなじく1年生です。じつにきれいな京都弁で同志社輩出の落ち着いたイケメンとは、ひょんなことから親しくなりました。

Dさんはメーカー勤務で台湾駐在から昨年虎ノ門帰任し、子煩悩なおとうさんなのでいつもわたしと育児のはなしをします。昨年末は一緒に目黒区の知合いのみせでボトルをいれその場でのみきってしまった、ハイペースなアルコール消費をする御仁ですが、、洛中の人物と全くおもえぬ！イヤミをいわない素晴らしいお公家さん的人格者なのです。じつに意外な。ただしこれには深い理由がありまして、某飲食店ではじめて会った日にご自分のLINEアーカイブをみせてくれながら、なかなか人に言えぬ苦悩を仔細おしえてくれました。さぞかし勇気がいったこととおもいます。人の痛みを知る者はむやみに人を攻撃しない由

Dさんはわたしより若いのですが、ご両親はすでに他界され妹さんとこの５年次いでお見送りした経験の持ち主です。またその早逝の理由がえげつなくとても書けません。この世にいないいまだから、わたしに説明できたのかもしれません。生きていてまだケアしてる対象だったなら、苦しみのあまり他人に吐露できなかったろうと思うのですが、これは金銭トラブル等ではまったくなく、精神疾患による妄想勘ぐりなど連綿とつづく不穏な理由によるものです。

とにかく、親類縁者をまきこむ両親の不和と親族からのクレームに苦悩した数年があり、その重たいLINE内容もいまだにのこっていてそれを説明してくれたのです。さすがに事後であるからこそ、他人のわたしにはなせたとおもうのですが「人知れぬ羞恥心」等とまたべつの「救いようのない難題」ゆえ恐らくだれもがコメントに困る驚愕の内容なのでした。

おもわず「なぜ、こんなにもプライベートなはなしを僕に伝えようとおもったんです？」そう聞いてしまいました。

するとDさんは「…それは。あなたもさきに、自分の家族のはなしを赤裸々にしゃべってくれたじゃないですか？ぼくのも最近のことで、お互い利害関係もありませんしありのままの話をしたんですよ」と理知的にこたえてくれました。ビジネスパーソンの互いに程よく自己開示をという感じなのかな

わたしも自身の父親のややなんぎな言動というのがたまにありまして、できる限り自分らが困らない処遇、気のもちようをDさんに僭越助言したのですが、かなりハイレベルの人にいえぬ個人的なはなしをしてくれた、彼から私への信用には感無量でありました。秘密の共有とはそれなりの紐帯の第一歩、他人だからこそはなせて少し重荷がへったのなら幸甚です。

最近思うのですが、家族外の他人に感情の吐露や感極まった共感を、みながしない求めない傾向があるとおもいます。あるとすれば評論やネタを披露する（もしくは記事にする）「商売」での売文、トークなので個人の「芸風」のなかに含まれます。そもそも課金される時点で「これが事実に基づくのか」は信じていいと限りません。面白くするためにネタは改変されるものですから。そんなプライベートの取扱いにしらじらしい空気をかんじていましたら、ある日Ｄさんは剛速球の重たい球を僕に「ずしん」と投げてくれたというわけです。これはこれで複雑ながら案外うれしく感じるものです。

なぜなら、真っ当な大人は「信用している人」にしか本心を明かさないからです。個人的な家族のはなしも。

そんなＤさんの中3長男は、とても勉強ができるそう。しかも要領がよく、短時間で最大の効果を発揮する。おとながみていて、そう子を把握できるということはなかなかのものです。心の底からうらやましい。うちの子どもに爪の垢を大量にくださいとなんどかお願いしています。無事に塾高へはいったら、あの悦朗さんの後輩となりますので遊びすぎには注意してくださいね。

以上拙文のご精読をありがとうございます。