銀行融資の仕組みの真実|銀行貸出の原資は皆様の預金ではない!

代表の佐藤です。

『この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ』ダンテ 神曲 地獄篇

さて、前回の「税は使うものではない」記事はいかがだったでしょうか。

脳みそ全体にバリバリと電流が走るような体験になったのではないでしょうか。

今回はそのアハ体験その2。
信用が崩壊する時を銀行を例にしてお伝えします。

こちら↓の記事で書いたように日本の信用がなくなることは考えられないのですが、

その信用をいかに崩壊させるか、ということを書いていきたいと思います。

結論を言ってしまえば、『貸したカネが全て返って来てしまったとき』、です。

な・・・・なんだってーーーー!!
MMRⒸ石垣ゆうき

 

2024.03.13動画リンク3本追加



 

銀行の貸し出しの原資はみんなの預金・・・ではない!

よくある勘違いに、

銀行の貸し出しは預金者からの預金を集めて貸し出している

というものがあります。

そう。勘違いです。
完全な誤りです。
銀行は預金者から預金という形で集金してそれを又貸しして貸し出し先の融資に使っているのではありません。

又貸し説に囚われてしまっている人からすると、この預けた預金を又貸ししているから、融資先の大型コゲつきが発生すると

「預けたカネが返ってこなくなる!」

と窓口に預金の引き出しに殺到する取り付け騒ぎを起こし、それが元で銀行がつぶれると考えるようです。

しかし、そんな事で銀行はつぶれません。
※2023年3月のシリコンバレー銀行(SVB)破綻は報道では取り付け騒ぎで一般的な銀行が破綻したかのように報じていますが、全く違います。シリコンバレー銀行はいわゆる「投資銀行」です。米国債という米国当局の負債を多く保有しており、その米国債の不良債権化から、当局が踏み倒すために「お取り潰し」を行ったのです。つまり「官製破綻」です。当然米国当局は預金者の預金補償をしました(その仕組みは本稿最下段)。

会計、簿記がわかると明白な事実なのです。
(が、税理士の中でもこの辺りわかっていない人がいるのが残念でなりません。)

経理を日常的に行っていないと、なかなかとっつきづらいのが勘定仕訳です。

仕訳とは取引の要素を借方と貸方に分類して、帳簿や仕訳帳に記載する、いわゆる簿記の作業です。
全ての取引きの内容を借方と貸方で一対一に対応させるため、借方が一方的に多いとか少ないということは発生しません。

銀行において、預金は貸方に計上される負債です。
おカネというと資産のように感じますが、銀行にとっては負債なのですね。

会計・仕訳に関してはテクニカルなものですし、書き始めると書籍が一冊できてしまうので割愛します。
逆に「単なる技術」なので正しいも間違っているもない単なる事実で誰がやっても同じ答えしか出てきません。
そうでないと会計できませんね。

皆さんが預金通帳を作る際、銀行と預金の扱いについて又貸しをすることに了承しましたでしょうか。
そんなことはしていないはずです。

銀行とは非常に「お堅い」業種です。
日付が記入されてないとか「¥」マークを書いてないとかだけで窓口で受け付けてくれないくらいカチカチに堅い業務内容です。外回りの担当に通帳記帳で通帳を預けるにしてもイチイチ預かり証の発行をして、返却時もその預かり証の返却が求められます。

借り入れの際なんて、何種類にも及ぶ契約書の数々に署名捺印して腱鞘炎になりますよね(笑)

それだけ「契約」というものに非常に重きが置かれているのが銀行です。
その中で契約もしていないのに、預金者からの負債を又貸しすることはあり得ません。

預金をすると利子が付きます。
これは預金者から預かったものが負債だからですよね。
銀行からすると預金は金銭面で損しか無い業務です。

しかしそれを行うのは、住宅など各種ローンの提案など顧客情報の収集のために行っている「仕入れ業務」のためと言えます。

銀行の本来の業務とは貸し出しをすること

借り入れをしていない人からすると、銀行はおカネを預ける金庫のような場所、という印象だと思います。

しかし前述のように預金は銀行にとって負債です。
かろうじて振り込み業務や時間外ATMのシステム使用料・手数料がありますが微々たるもの。

また、金融の投資部門もありますが、これは別子会社を作って行うくらい銀行業務とはかけ離れたものです。

銀行が利益を上げるところは、おカネを貸し出してその利息をいただく部分となっています。

そう。
これが冒頭で言った結論の核です。

銀行の収入とは、貸し出したおカネで価値を生みだしてもらって、その融資の利子をいただくというもので、最近の言葉でいうところの「サブスクリプション」なのです。
複合機のリース契約とか思い浮かべてくれるとわかりやすいかなぁ、と思います。

銀行をガチャゲームに例えると、預金だけするのが無料枠で、融資を受けるのがガチャを引くということです。
あれ?余計わかりづらい?(笑)

よって、融資したおカネを全て回収してしまうということはサブスクリプション契約を解除されてしまうということと同義なのです。

いかがでしょう?
つながりましたね。

A銀行で借り入れを行っていたものを、B銀行で別で借りてA銀行に全額返しちゃうとしますよね。
普通の感覚だとA銀行さんには感謝されそうな感じがしませんか?
貸したもの返してくれてありがとう、といった感じですよね。

しかし逆です。

A銀行さんに黙ってそんなことをすれば烈火のごとく怒りだすでしょう(怒るかどうかは人によりますね笑)!
貸したカネを返されてしまうというのは、実は銀行にとって死活問題なのです。

リース契約で考えてみると腑に落ちると思いますよ。
・・・・(個人的にはガチャゲーの例えの方がしっくり来ると思ってる笑)
ね?

でも疑問が残りますよね。

その貸し出したカネはどこから来てるの?
また返されたカネはどうなっているの?

銀行の御業「無から有を生み出す」

ここで信用創造です。

貨幣とは何かは以前書きました。

↑の記事の「貨幣の本質は生み出す価値の点数であり、負債という形で表現される」の段落です。

『借りる人の将来生み出す価値に信用を与えて貨幣をその場で生み出している』

これが銀行という機関が、日本の中央銀行「日本銀行」から付託された能力であり権力です。

佐藤個人の妄想でも何でもありません。

これを「万年筆マネー」といい、万年筆で通帳に書き込むだけでおカネが発生することを指します。
現在だと「キーストロークマネー」でしょうか。キーボードをタタンと叩くだけで生まれるということですね。

現代中央銀行システムの祖であるイングランド銀行の2014年春の季刊誌でも「現代経済における貨幣の創造」の中でそう述べられています。
イングランド銀行による信用創造の説明(PDF) (英語ですスミマセン)※導入部一部抜粋して翻訳

貨幣創造に関する2つの誤解
国民が保有するマネーの大部分は、銀行預金という形をとっている。
しかし、銀行預金のストックはどこから来るのかかは、しばしば誤解されている。
よくある誤解のひとつは銀行は単に仲介役として、貯蓄者から預かった預金を貸し出している。というものである。
この考え方では、通常、家計の貯蓄決定によって「創出」され、そして、銀行は既存の預金を借り手に「貸し出す」。
例えば、投資資金を調達したい企業や、住宅を購入したい個人などである。
実際、家計が銀行口座により多くの資金を貯蓄することを選択した場合、その預金は単純に銀行口座に入金される。
家計が銀行口座への貯蓄を増やした場合、その預金は単純に次のような犠牲を払うことになる。
預金は、商品やサービスの支払いに充てられるに過ぎない。
貯蓄はそれ自体では銀行が融資できる預金や「利用可能な資金」が増えるわけではない。
実際、銀行を単に仲介業者とみなすことは、次の事実を無視している。
銀行は預金マネーの創造者なのである。本稿では、その理由を説明する、
この記事では、銀行が預かった預金を貸し出すのではなく、貸し出すという行為が預金を生み出すということを説明する。
一般的に教科書で説明されている順序とは逆である。

そして、融資したおカネが銀行に「返って」くると、銀行の金庫に・・・入るわけではなく!
融資先の債務と相殺して「シュッ!」消滅です。

無から生み出された貨幣は役目を終えるとまた無に戻る。

このことから導き出すと、負債に対する利息とは、中央銀行の窓口業務を委託された銀行という信用の権化から、世の中にまだ何も生み出されていない未知の価値について信用を付与してもらう手数料だ、ということが言えます。

銀行とは信用を与える存在であって、信用を失うとかそういった対象では無いのです。

それでも銀行信用喪失論が後を絶たないのは、上のようなシステムをまるで知らないから、としか言いようがありません。

それでも民間銀行がデフォルト(=債務不履行)するのはなぜなのでしょう。

誰かが債務を負ってくれないと貨幣は生まれない

民間銀行は、上記のような信用創造で貨幣を生み出す強大な権限を中央銀行から付与されているにも関わらず経営が立ち行かなくなり廃業することはままあります。

当然(一応)民営の組織ですので行員の給与など組織運営上の経費が発生しますから、利益を生まなければ続けていけません。

信用創造できるのだから自分のところで貨幣を作れば良いじゃないか

といわれても、銀行の生み出す付加価値とは誰かの将来の付加価値に信用を与えることですから、自分で自分に信用を与えることはできません。

上でも書きましたが、銀行の業務は融資です。

バブル崩壊以降、法人・個人問わず金融資産の暴落によって抱えた負債を返すことを続けています。
あらたな投資など増え辛い状況ですので、それに応じた融資も発生しない状況に陥っています。

サブスクリプション契約者がどんどん目減りしていっている状況なんですね。
当然利益が出ませんから廃業ということになります。

信用が落ちたから廃業したのではなく、単に経営環境の悪化なのです。
借りてくれる人がいなくなってしまった環境ということです。

銀行にとって、預金を引き揚げられたところで何の痛手もありません。
むしろ負債が減ってせいせいするくらいでしょうか。

また融資先が焦げ付いても、実はほとんど痛くありません。

そもそも手元にあったおカネという現物を貸し出したわけではありませんからね。

信用創造によって無から生まれたおカネです。

最悪元本が戻らなくても、帳簿上で消し込みを行うだけです(とはいえ与信をミスしていることは事実なので日銀などから叱られることにはなりますかね)。
だからと言って元本を回収する必要が無いわけではなく、インフレの抑制という大事な政策的側面がありますから、融資した元本を回収する必要はありますよ。
とはいえ元本が回収できないからといっても銀行自身がおカネが無くなって困るわけではありません。

貸し出し先が倒産しさえしなければ利益である利息を取り続けることができます。
しかし痛手となるのは貸し出し先が突然自己破産などして利息を徴収できなくなることです。
サブスクリプション契約者の減少ですから。
なので倒産しないよう銀行はリスケなど行って返済の負担を軽減しようと頑張ってくれます。

しかし、そのような貸し出し先に大量に焦げ付きを出すような銀行ならむしろ借り入れしたいですよね(笑)
与信ガバガバなんでしょうから!
そうだなぁ、金利も安くしてもらって、10年借りて5年くらいしたらまた一括借り換えも保証してもらっちゃおう。永久債だ!
倒産するのは企業も銀行もお互いイヤなので、たくさんフォローしてもらっちゃおう。
例えばうーんと、不景気だから元本は待ってもらって利息だけ払えばオッケーでお願いね。

なんちゃって。

実際は銀行支店ごとに保有する日銀当座預金の額によって融資上限が規制されていますから、あまりに焦げ付きが多いと日銀からのペナルティで新規融資ができなくなるという制限があり、経営が難しくなることはあります。
しかしこれも信用が貶められたのではなく、ペナルティによる経営状況の悪化です。

しかも、銀行は破綻しても預金の払い出し業務は継続されるんですよ←ここ重要
過去の銀行破綻例を調べればわかる単なる事実です。

はい、さて困りましたね。
預金者が自分が口座を持つ銀行を「信用※」しなくなって預金が全て引き出されてしまっても銀行の信用は無くなりません。
融資先が焦げ付いても銀行の信用は無くなりません。

(※同じ「信用」という言葉なので紛らわしいですが、心境を表す信用と経済における信用とは意味が違うのはわかりますでしょうか。)

むしろ借り手が増える要素が強くなってしまいました。
銀行の利益は何でしたっけ?
そう、融資の利息です。
借りてくれる人大好きです!

このように、銀行の信用を崩壊させるなんて不可能!なのですが・・・崩壊させる手段があります(かなり無理筋ですが・・・)。

銀行の信用が崩壊するときの光景

冒頭で書きました。

『貸したカネが全て返って来てしまったとき』
と言いますか「借りようとする人がいなくなったとき」といった方が良かったでしょうか。

ここまで読み進めていただければ、借り手を失うことが銀行にとってこれがどれだけ痛手になるかおわかりいただけたと思います。

これが全国、全銀行で成し遂げられてしまった時が信用の崩壊です。

え?借金返したら信用の崩壊!?

そうです。
信用を与える先が無くなってしまった世界。
つまり、この先産業が生まれない、何も価値を生まない社会、という地獄のような焼け野原が目の前に広がった時に、全ての信用が崩壊します。

おカネが必要なくなった世界。

誰もだれかに価値を与えられず、誰かに借りも作らなければ貸しも作らない世界。
つまり人の生活、経済活動が無い世界。
その世界は銀行の信用が云々という以前に「死者の世界」ということなのです。

逆に、人と人が関係しあう以上信用は積み上がり、人が多いほどその信用を付与するより大きな存在が必要となります。
それが国家であり中央銀行なのです。

国家の信用、銀行の信用が潰えるということは、日本というかなり大きな国家においてその信用創造の総数からしてあり得ないのです。

本来は。

ただし、バブル崩壊で、実は銀行自らがそれを行った経緯はあります。
不動産や証券の価値の暴落で、融資先の投資物件が不良債権化した際に、日銀が公的資金投入すればソフトランディングできたところをせず、あろうことか貸し渋り、貸し剥がしを民間銀行がせざるを得ない状況に追い込んだのです。

バブル崩壊という環境的な問題を個別の銀行の業務的過失と同様に捉えて通常通りのペナルティを課したんですね。
(しかも、そもそもバブル崩壊自体を招いたのは政府。)

リーマンショックで「全く無関係」の日本にも大きな被害が発生したのも同じ構造です。
日銀さえきちんと機能していれば、単なる為替・金融市場という閉じた世界の中だけでの混乱で済みました。
実経済に影響を波及させたのは政府と日銀のサボタージュです。

貨幣についての正しい理解が無いがために、そういった愚かな選択を政府と日銀が行ったことは忘れてはいけないところです。
戦後直後の預金封鎖といい、新円切替えといい、中央銀行が中央銀行としての機能を理解していないことは大変な問題です。

こちらのパターンでも信用を崩壊させることができます。
つまり自らの権限を知らないのか、わざとなのかはわかりませんが、中央銀行自身が「自分に信用を付与する力が無い」と宣言するような事をしでかす場合です。

つまりは錯乱した上での自死行為ですね。

全く笑えないコントです。以下の記事でも書きました。

生ける者に対して地獄の門は勝手に開きません。
自ら希望を投げ捨てて踏み入れるものなのです。

 

p.s.

いやぁこんな事実をバラしちゃって銀行さんに怒られないか心配ですよ(^^;
銀行さんのビジネスモデルを全公開してしまいました。
大丈夫かなぁ。。。ウチ。。。

借りたカネ返すな!なんて言ってませんから!勘違いしないでくださいね。
返済はインフレ抑制するのに大切ですから。

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