越年まであと2か月

みなさま、こんにちは。北川です。

ようやく涼しくなり、エアコンもいらず過ごしやすくなりました。

ふと8月夏休みの記憶が蘇りまして、「2つの意外性」について以下に記します。

8月某日、横浜みなとみらいでグリーンルームフェスが開催され、ロンドンからジャイルズ・ピーターソン来日がアナウンスされました。しかも無料。露払いは田中知之さん。なぜ無料のスペースが設けられたのかは不明ですが、有料本会場赤レンガ倉庫から離れハンマーヘッド脇にステージがつくられていました。

友だちと現地へ見に行くと、UFO松浦俊夫さんが半ズボンでウロウロしていました。偶然あった友だちの友だちはなんと松浦さんの知り合いで、わたしも成り行き上挨拶させてもらいました。

クラブピープルは平和な人付き合いを好むのを改めて思い出しました。因みに本稿で紹介する固有名詞はクラブDJばかりです。松浦さんはむかしテレビ東京に出ていた頃と全く変わらずほっこりしました。詳細説明は割愛させていただきます。

田中知之さんは、FPM名義で発表音源多数。コーネリアスの代打で東京オリンピック開会式用楽曲の製作をしたことでよく知られています。わたしは実は彼の出演現場を見るのは初めて。　と、これが実に1時間のプレイがいまいちなのにガッカリしました。選曲が。。音楽の良し悪しは好みの問題でもありますが、キャリア20年とは思えぬ安易なやっつけ印象は拭えませんでした。

それが確信できたのはトリのジャイルズに代わり、一曲のサイズを長尺に変えBPMを徐々にあげていくラジオ方式で繋ぎはじめたのが、はっきりと上手すぎたからです。

ジャイルズは92年頃からアシッドジャズのDJとして世界的有名人になり、そのままいまもハーヴィなみの人気を誇ります。特に日本人はロンドン情報を好む贔屓が多く、ブランニューヘビーズよりデファクトといえましょう。

私は近年のジャイルズによるコンピレーションを聴いたことなかったのですが、ダブステップやロックもがんがん掛けるのに驚き、また実にカッコいいのでさらに驚きました。

サンプリングでいう大ネタ、アイズレー・ブラザーズのザットレイディは久々に野外大音量で聴くと最&高。友だちも田中はんとのギャップに満足げ。偶然に会った千葉大ジャズ研のOB仲間は草加のさる私立病院長だそうで、医師にしてマメなクラブピープルがいるのには大層驚きました。とにかく、海べりでいろいろおどろいた。

ジャイルズ・ピーターソンのベテラン妙味とは以下です。

1　1曲のサイズを7-10分に長くするミックスを施す　コンプレッションはかけない、手間だが実は心地よい

2     ワシントンgogoみたく（4つ打ち以外のドラムパターンで）ベースフレーズがカッコいい曲を集める

3     わりと有名な古いロックもかける。これも1曲を長くする

4     スタートはクワイエットストームでピッチがかなり遅く、途中も4つ打ちは極力使わない。すると洗練さをかんじる。

5　「歌モノ」に関し現在の流行りものは使わない。ワックそのものになってしまうから

とまあ、そんなところですがなにしろ8月の野外は夜でも暑い。汗だくで帰る途中、友だちNくんが「腹が減った。なんか食べよう」と20時すぎにいうので、近くのビルのとんかつ屋にはいり瓶ビールをたのみ味噌カツ定食を食いもって、たったいま観たばかりのジャイルズの良さを讃えたのでした。

ちなみにNくんは千葉大ジャズ研ではコンボでウッドベースを弾いていたのですが、いまはウェブデザインの傍らシルクスクリーンの抽象画作家でもあります。古いつきあいながら、音楽と美術に耽溺する自由な彼に久々会えてとてもよかった。

饒舌から遥か彼方　朴訥でおおくの言葉を使わない、わたしが質問や言い換えを交えて、彼の言いたい真意を確認していく会話は、まるで美術作家とインタビュアーのようだなといつもおもいます。どうやら彼の周囲には、コンサルのような喋りまくる人間はおらぬようで、よくも仕事がきちんとなりたつなあと不思議ではあるのですが。

Nくんに会うと、おおむかしは自分も無口で人とはなすのが億劫だったなあと、なつかしい気持ちでいっぱいになります。

ちょうど、わたしも彼も家族が不在の日であったため、特に帰りも急がず24時にのんびり帰宅。しかもロンドンから来たスターを無料でみれ得した気分になったお盆でした。

２つの意外性とは「がっかり」と「ロックまでかけるんだ」の２点ということです。これから人前で選曲するときはぼくもプリンスやプライマル・スクリームを混ぜることにします。

本年もあと2か月、気を抜かず来年の光明を確保します。みなさまも悔いのないよう越年をお迎えください。

毎々拙文ご精読をありがとうございます。