みなさま、こんにちは。北川です。
最近、草刈正雄さんの「役者としてなにを考え仕事をしているか」聞き取りをまとめた書籍をよみました。むかし徹子の部屋で、ふたりの愛娘について黒柳さんへ説明する草刈さんの話がおかしくて、以来すっかりファンになりました。下の御嬢さんはなぜか父のことを「まさおー」と呼ぶんだそう。あれだけカッコいい、女性にもてた人が36歳で結婚以来大塚悦子さんとだけ生涯をともにしてきた生真面目なところもすきです。
徹子さんとの会話中、彼の人生の神髄ともいえる発言がありました。
「ぼくの故郷、北九州小倉には貧乏しか記憶がなくて、あまり思い出したくないんです。たのしい記憶がまずないんですよ」
おもわず徹子さんも数秒沈黙する告白。
そう、アメリカ軍人だった父は50年代に戦死。シンママに育てられた彼は差別をうけながら中卒で働き始めた。夜中もスナックでバイトしてなんの希望もなかったとき、東京で広告や雑誌のモデルになればサラリーマンよりはるかに多いギャラをもらえるよ、きみならオーディションうかるはずだよ、そう言われたそう。ハーフで上背がありましたから。
それから17歳で九州を飛び出し、苦難の道をあゆみ成功をつかんできた。幸いいまも仕事はきちんとオファーがきて役者を続けていられるけれど、自分にはこれしか生きる道はないからしがみつくしかなかったんです。この本では正直な本音を述べています。草刈さんは普段素でインタビューに応じるとき、にこやかなモデル顔ではなくみていると笑顔はなく真面目な顔をして真摯な受け答えをされます。むしろ慇懃な感じ。ていねいな話しぶりですが、自分からすすんでプライベートや心情を公開するタイプの人ではないようです。
昨年、亡き父の家族がいまも生きているというNHKによる情報をもとに、アメリカまで父の親族へ会いに行く番組が話題になりました。現地で父がどんなひとであったかを伝え聞いて、草刈さんは記憶にない父親の肖像を初めて知り、番組が探し当てた家族(遺族)からは親族のようにもてなしをうけます。おずおずと部屋に入り会話して涙をながし感謝を述べる姿は真面目な草刈さんそのものでおもわず涙腺がゆるみました。
演技中でなく素の様子は饒舌でなく、考えながら言葉をえらんではなすシャイな姿は朴訥な人柄そのものです。役者としてけして器用でないと謙遜し、脚本を覚えるというよりひたすらからだに染み込むまで肌身離さずもちあるき読み込む。さらに演出家・共演者と会話するなかから役柄の人間性を深く考えて咀嚼再現してるだけ。ひとつおわれば、一旦それまでの没入をわすれ、またつぎの仕事でおなじサイクルに取り組むくりかえし。20代でスターになり一転30代に主役がこなくなったとき、これからの人生をどうすべきか不安に苛まされ脇役で撮影現場にいながら自分にできることは、、、と必死で考えたそうです。芝居のもとである「脚本」から人生に必要な知恵をまなんだとまで言い切る。
落ち目にみえたとしてみっともなかろうが役者として自分にオファーがくるよう、すべての仕事で全力を尽くすしかない。そう泰然として取り組めるようになったのだそう。デビュー以来、豪快であかるいスターと自認したことは一度もなかったそうなのです。いまでも気が小さく地味な男であると。若い頃も浮かれることなく派手な暮しをしてこなかったのは、彼の性格によるものなのかなという気がします。醜聞も聞きませんし。
この本のなかに、切実な心境の吐露がいくつかあります。唯一の肉親であった今は亡きおかあさんから「ありがとう、ごめんなさい」をきちんといえんといかんよ。幼少からそうくりかえし諭されてきたそう。いざデビューして母が心底うれしそうに「ほんとうによかったね おめでとう」と涙をながし祝福してくれたとき「おふくろ、ありがとう」がはずかしくていえなかった。なにもいわずながしてしまったのを、亡くなるまえ心から悔やんだそうです。苦労を経たせいなのか内向的でシャイな性格なのですね。これだけ長い芸歴なのに、社交を疎み外出をきらい家の中でそのときどきの脚本にひたすら向き合う。禁欲的にもみえる性格・生活についてこの談話をまとめた本で自ら明かしています。
はや70歳になりおじいさん役が多く、自分の生涯をふりかえるタイミングでもあるようですが、元祖世紀のイケメンが当時もいまも自信満々だったことなどなかった。いつ自分が必要とされなくなるのか不安で仕方なかったのを経て、一本一本仕事に全力をつくし、監督に召され期待にこたえる準備とパフォーマンスをしめせるか心血注いできた。そんな地味でまっとうな頭の中をみせられ、意外におもうと同時にほんとうに等身大の謙虚で真面目なひとなんだなあ、というのが強く印象にのこりました。趣味はテニスくらいのもので質素なくらしぶりには驚かされます。
長年司会を務めるNHK番組・美の壺(故・谷啓さんの後任)についても、此の歳で知らないことはまだまだあるんだなあ、、、とおもってらっしゃるそうで、またひとつ勉強になったなあ!というまとめの表情はなんともいえません。ユーモラスな演技もまた真骨頂。
先週、名優寺田農さんが没しましたが、草刈さんにはまだまだ活躍してほしいなとおもいます。
毎度拙文のご精読をありがとうございます。
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