みなさま、こんにちは。北川です。
先日エリック・カルメン訃報に接しました。あんなに流麗な歌声も二度となまで聴くことはできない、自分が10代で夢中になった音楽家はすなわち自分より10-20歳は年長ゆえその寿命はつぎつぎに尽きていきます。憧れの有名人がいたなら、拝観チャンスには課金していったほうがよいとおもうわけですが、今生のわかれを目に焼き付けるのはだいじです。
過日、本稿でダムド来日についてかきましたが、ダムドは過去いちども観にいっていないのでした。そこまでなにもかも受け容れるファンともいえないからですが、本日はすでに歴史上おわりを遂げたバンド The Crampsについてその奇妙な魅力を可能な限りの筆致でおつたえしようとおもいます。来日公演を計3回みています。アメリカツアーは渡航画策するも断念。
クランプスというバンドは70年代後半にアメリカNYCにあらわれたガレージバンドであったのですが、あまりに強烈なファズ、それと初期の数年後からアイヴィのトレードマークとなったグレッチ6120と、ロカビリー的ドラムから「元祖サイコビリー」という形容詞がつねについてまわります。まだそのころMeteos Frenzyなどネオサイコがいなかったころで、サイコビリー必須のスラップベースはいまだかつてクランプスではRECでも使用されていません。サイコビリーといわれだしたのはギターの歪みとドラムのことからそう認知されたのかとおもいます。ロカビリー寄りのガレージがただしい哉。その長い歴史では初期の重要メンバー、キッド・コンゴ・パワーズ、ブライアン・グレゴリーなどフリークに近い奇人が活躍するもよく不明な理由で離脱しています。ブライアンは楽器・機材すべてと車両ごと失踪してしまいました苦笑
このバンドはラックス・インテリアさん(Vo.故人)とポイズン・アイヴィさん(女性・スーパーギターヒーロー)というビザールマニアの独特なセンスの夫婦がスタートさせ、ニック・ノックスという極めてリズムキープに長けたドラマーを得てその長い歴史はつづいてきたのですが、ラックスさんの病死急逝により30年続いたバンドが停止することになってしまいました。その10年後くらいにノックスも病死辞世。バンドの肝であるアイヴィはまだ存命なのですが、いまやいっさい表舞台にでてくることはありません。
過去3度生でみている私としては、こんなにもRECなみにライブで正確にギターを弾く女性をみたことはありませんで、最初にみた1990年いまはなきMZA有明のうすらさむい小屋のなかで度肝をぬかれたのをおもいだします。きわめてマニアなバンドのため完売しなかったとおもわれスカスカでサムかったのですが、当時はキャンディ・デル・マーというひさびさの女性ベースがAL「ステイ・シック」RECから加入してツアーもまわったため、けっこう華がありました。アイヴィのあのアクロバットプレイを生きている間に拝みたいとラックス死後以降おもっているのですが、活動や存亡いっさい記事になることはなく、ひっそりこの世を去ったのかもしれません。ただ、あれほど有名なギタリストの訃報はナタリー記事やヤフーニュースになるはずと信じておりますので、いつかまだ観るチャンスはあるはず。
当時のアー写 左からニック、アイヴィ、ラックス、キャンディ
このバンドの音楽性は前述のとおり、ガレージ+ロカビリー(パンカビリー)で76年デビューから2009年ラックスさん急逝まで終生かわることはありませんでした。ラックスとアイヴィの夫婦ふたり以外はのべ20人くらいメンバー交代はありましてアメリカではバットホールサーファーズなみのカルトバンドとはいえ、自分の名乗りをあげる名誉よりやはり変態夫婦にはついていけなかった苦渋の離脱とおもいます。
ラックスのステージ最期に脱衣、マイクスタンドを破壊してしまうお約束芸は来日時も健在でしたが、アイヴィの一糸乱れぬギタープレイもおどろくべき伝統芸でありました。ドラムのピッチが正確なせいもありますが、とにかくリフ・ソロを弾くギターの正確さ、エッジもRECどおりとそのけして笑うことのない殺し屋のような表情でラックスをみつめるまなざしは忘れることができません。たまーに、にやりと歯をみせたことはありましたが、ニック・ノックスとおなじくらいステージで笑わず黙々と楽器をかなでるすがたは、吉本新喜劇の毎週同じネタを繰り出す芸人に近いものを感じました。
結果芸歴が33年でおわりをつげたのはまことに残念で、ステージでみせる美貌が80年ごろとまったく変化なかったのに2回目来日の際、心底おどろきました。不老不死にもおもえるくらい、見た目がかわらず、演奏技術もおとろえない。本邦屈指ギターヒーローのエディ・レジェンド(MAD3)が3年くらいまえ、女装しアイヴィに扮してグレッチを弾きまくるカバー大会をやったことがありましたが、プロにもいまだ愛顧されるレジェンドなのはまちがいない。死ぬまでにもういちど生きて演奏するところをみたいものですわ... 仏の顔は三度しかみれませんでした。
ライブにおけるそのたしかな演奏技術は、ブライアン・セッツァーにも比類するシュアなもの。グレッチでのギャロッピングしかり、リズム、リフとソロと一本でひたすら弾きまくるのは、楽曲のスコアを完全におぼえているのとリハで相当時間を費やしいつでもどの曲でも再現できるであろうなとおもわせられます。年をとろうと変わらぬピッチでテンションをさげない、みるものに緊張感を強いるすばらしいパフォーマンスを毎回再現するのが(私がみた都合計3回はいづれも絶好調)、いかにも超ベテラン芸人そのものです。
はなしはやや逸れますが、日本のChar(竹中尚人)さんは西川のりおさんの大ファンで、JLC&清志郎で大昔CXひょうきん族に出演したとき、のりおさん楽屋でサインをもらうのに緊張した様子をみせ周囲を驚かせたそうです。音楽家とはまいどステージでヒット楽曲再現をするわけで、舞台で毎回おなじネタ再現にてわらかす芸人に強く共感するものがあるらしい。プロ根性はどちらもかわらない。
未知やすえさん、若井みどりさん、今は亡きかしまし娘・歌江ねえちゃんなど、関西のベテラン女性たちがわたしは大好きなのですが、アイヴィのステージでの気合もまたおなじものを感じるなあと、正司歌江さん訃報に接し先日ふときづきました。みるものを感動させるのはどちらも変わりありませんからね。
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