みなさま、こんにちは。北川です。
スーパーボウルはFILADELFIAが制覇するのではと密かに高まっております。
わたしの大好きなホール&オーツも愛する地元で観戦することでしょう!
前回にひきつづき落語のはなしをします。
わたしが落語に興味を持ち始めたときまだ談志は存命でしたが、その行く先々で巻き起こす事件の数々、野放図な発言は有名でした。それゆえ山と居る弟子たちの存在は霞む、志の輔がいちばんの優等生で名が知れた真打であったかとおもいます。志らくさんもさしてテレビにでてないころのはなしです。
晩年の家元(=談志)は、弟子の育成に拘りをみせ、とてもついていけない若い衆は次々破門をくらい、松阪牛ロース3kgで赦しを請い首がつながるなどの騒動が数多く起こりました。当時惣領弟子の里う馬さんよりも談幸さんのほうが家元に近しい人物だったようですが、その談幸さんが家元没後、芸協に移籍したときはほんとうに度肝をぬかれました。一門の良心が。もっとも真面目で誠実な談幸さんがまさかの離脱。
もっとも原理主義にちかいとおもわれていた愛弟子が脱北する事態に、家元亡きあと一門の拠り所はいったいなんなのかとすら。自分の足でたって人生のみちしるべを自分自身定めるしかなくなったわけですから、談幸さんのように寄席へ帰りたい欲が優先される(落語協会時代の平和な時代に逆戻りする)こともありうるのかと。そのように理解しています。
その談幸さんが芸協移籍時、弟子が2人おりました。二つ目が2名。芸協の香盤で談幸さんは真打の末席に収まりましたが、吉幸(きっこう)さんは前座1年、幸之進(こうのしん)さんは前座2年の不可解なペナルティが課されました。寄席に毎日はいってお茶くみからめくりの手配、呼込みの太鼓、座布団返しからやりなおしです。戦々恐々は当時の芸協前座たちです。いくら形上の香盤格下なれど、百戦錬磨の立川流二つ目です。とてもあにさんに仕事をやらせるわけにいかんと、大層気を使ったそうですね
3年前に苦難の道をきりひらき、苦節22年かけ真打昇進を果たした立川吉幸さん。遅咲きのいぶし銀をご紹介したいとおもいます。生きてる落語家のなかで鈴々舎まるこさん、金原亭杏寿さんと並びすきな噺家です。
吉幸さんは、当初快楽亭ブラックさんに弟子入りし業界に足を踏み入れました。ブラックさんは立川流で談之助さんと同期でしたが、師匠を上回る狼藉の御蔭で強制除隊(破門)、そこで吉幸さんは談幸さんを師匠に選びなおし修行を再スタートした経緯があります。そこへきてさらに移籍でキャリアバックする事態が生じ、近年もっとも同情を誘う噺家といえましょう。二代目三平の笑点降板より大事件が多い人です。
わたしがなぜ吉幸さんがこのみか、贔屓するかと申しますと
とにかく口調が端正で声がでかい。あんなに滑舌よいプロもそうはおりません。べらんめぇ調も間合いの取り方も上手い。
初天神もすでに10回くらい聞いてますが(よくある15分くらいの出番でかけることが多いため)まくらでの小学生からの不幸の手紙のはなし(学校寄席での顛末)からの子ども根多には腹をかかえて笑いました。
苦労と受忍が顔にでない、顔も歌舞伎の端役のようないい顔の伝統的な芸人。
口調。落語の技術でもっとも重要なファクターです。おおくの新弟子は、CDやユーチューブで好みの落語家を真似て練習(稽古)をします。文字起こしをしてそのノートを軽く100扁は音読して、そらで覚えて、そこでお師匠さまに確認していただく。そのような稽古をひたすら繰り返します。毎月ひとつは新根多をおぼえそれを有料で聞かせる「勉強会」を師匠の許可をえて開催します。そうして贔屓のお客様がじょじょについてくる。メディアの取材や、TVラジオなど仕事の声がかかる。
それもこれも本人のキャラクター、芸風が好まれるか次第です。これらの過程で「口調」の良さ、明るい表情や演技が数多のプロたちと比べられて評価をうけるわけです。
音楽家と違い、古典落語の根多でポピュラーなもの、前座が覚える簡単なものは20くらいです。つまり寄席や勉強会でその20-30分の口調を観られているわけで、上手い下手は練習量ではっきり差がでるとかんがえてよい。聴く側が限られたバリエーション内で相対評価をするので、通信簿なみにはっきり好き嫌いはでてくるものと思われます。
特徴が乏しいひともいれば、見た目が派手、地味、口調が端正、巻き舌などいろんな個性はあるものの、口調=リズムのよい人がまずは上手い部類にはいるでしょう。音楽家でいえば、ピッチ・リズムが正確と言い換えできましょう。
リズムにのせる、いわばギターやボーカルが演技・演出の技術ですが、ご承知のとおり、落語とはひとりで3-4役を演じ分ける、しかも座ったまま。そのようなフォーマットに則ります。上手下手を上半身を左右にふりわけて登場人物をわかりやすくし、口調と声色で人物の特徴を使いわける。つまり、口調および動きのテンポとめりはりがないと、演技がのっぺりしたつまらないものに見えるのです。
口調のよい人は、聞いていて背筋がのびます。無論八代目文楽、小満んさんのようにあまり声を張らない人もいますが4ビートよりおそいテンポも技術のひとつです。大工調べなど長い啖呵をきる噺には不向きという弱点はともかく。
吉幸さんがたしか2年前末廣の初主任興行を務めた際、大トリは30分くらいの根多を10日間毎日代えるのですが、鰍沢という登場人物ただひとり、問わず語りの珍品をかけ見事上手くおさまったのには感心しました。
過去にいろんな噺家が何百ぺんといろんな高座でかけた根多が、毎回何度聞いてもおもしろいのはほんとうに不思議なのですが、コントや漫才とちがって古典のもつ日本語の妙味が味わい深い。短歌を詠み親しむのにちかいのかなと考えています。
よく謂われるように、寄席の番組は短時間の出番で落語、色物のプロが代わる代わる出演するため、長尺根多が掛けられず、数時間を通してみるとまったりして意識が混濁してきます。退屈なのかと錯覚してるうちに慣れると次第に桃源郷にも思える。寄席歴50年のパイセンからそう説明してもらいました。落語とはそんなものだそうです。
元同門の立川こはるさんがBS笑点レギュラーになり大分経ちますが、吉幸さんのしみじみ可笑しい端正な高座をテレビで毎週みれたらなあ、、と思うくらい優れたプロであると個人的におすすめしておきます。
最もジャズと同じで、上手い下手は関係なく、あまたの落語家から自分の好みの人物が記憶される。それが正解かも知れませんので、ぜひ笑点だけでなく色んな高座を試し聴きして欲しいなと思う次第です。歌舞伎よりカンタンに理解できますしね!
以上、拙文ご精読をありがとうございました。
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