みなさま、こんにちは。北川です。
本日のタイトルは、稲田豊史さんが2022年に上梓した書籍題名です。(光文社刊行)
稲田さんはギャガ(配給会社)~キネマ旬報社と映画の伝道師の王道をあゆんだのち、10年まえからフリーライターとして活躍しているそうです。じつに近年の憂うべき事象を掘り下げ、リキッド消費にも踏み入りながら「文化」の在り方を論考した力作です。わたしと2歳しか年齢が違わないので、物事のみかたが似ており共感が多かったです。
わたしも映画を愛する民のひとりとして、ネットフリックスの新タイトルならまだしも、劇場映画をあらすじやレビューをみてから判断しないと2時間を費やす気になれない。と宣うタイム・パフォーマンス至上主義には嘆きしかありません。
この本に記された多数のインサイト抽出は、博報堂DYMPの森永さん、青山学院大学の久保田ラボなどの協力もあいまって、若者の思考本質にせまる興味深い示唆に富んでいます。
そもそもファスト映画(著作権を無視して劇場映画を早送りしたユーチューブコンテンツ。現在は排除済)を見たがる人がなぜ多いのか。という話から始まるのですが、そうまでして日々情報把握をしないと不安になる、人付き合いで支障をきたすと述べる強迫観念にはおどろきました。興味がなくても情報として把握したい。あたかも文化の冒涜です。
それと、もうひとつ。早送りやサマリー、みどころをレビューで知りたがる理由として、自分の好き嫌い、このんで観たいものかを取捨選択したいということだそうです。ツイッターで自分のバイアスと似た人しかTLに現れないのとおなじです。「自分にとって心地よい、好ましい」をつねに追及したいのだとか。オンデマンドも好むシーン、シチュエーションにまで細分化して視聴。しかもホラー映画が苦手な場合には、あらすじや細部のレビューをよむことで怖さを抑えてようやく楽しむことができるだとか、、
視野拡張というより、むしろ視野狭窄を強化しているようにもおもえます。
本書冒頭に、著者がその昔に業務上レビューを書くため毎月数十枚のあたらしい新発売DVDを視聴するのに早送りをしていたところ。のちに、ある作品のすべてを等倍速でみてみると、映画の内容・みどころは早送りで認識していたものと違っていて愕然とした、と記してあります。おそらくはコンテクストを理解する、映画製作者の意図を映像と音声からすべて理解することは早送り視聴で無理なのでしょう。
タイムパフォーマンス、コストパフォーマンスとはインターネット出現後、しきりに気にする人が増えたようにおもいます。情報の流通量が飛躍的に増えたからですね。情報の把握が目的で、手段と換骨奪胎してる気もします。
では、若者たちの取捨選択、選択と集中に知慧が働いているのかといえば、さして価値のないと思われるリキッド消費に時間を費やしている印象が否めません。仲間、友人が話題にする刹那的コンテンツに乗り遅れるのは疎まれるからというだけで。つねにネット接続して、検索で取り敢えずわかったきにならないと不安を感じるのはもはや病いのように感じます。
つらつら書き連ねましたが、タイムパフォーマンスを鑑みて映画やオンデマンドコンテンツを消費するのも、もちろんユーザの自由であるのは承知です。
ただし、映画作家や脚本家、撮影監督の心血注いだ表現意図が理解されない。瞬間的なわかりやすさ、記号しか求められないとは、文明の退化にもおもえるのは本書の著書だけでなくわたしも同感です。
シネフィルは気難しいおたく呼ばわりされるのかと思うとなかなか切ない。映画は楽しみ方がもっといろいろあると思いますよ。もちろん解釈も十人十色。
近年『グリーンブック』を機内3回含め15回くらいみていますが、何回みてもマハーシャラ・アリの演技とヴィゴ・モーテンセンの表情には感心させられます。音楽や読書のように何度でも感動できるアートフォームだと個人的に申し上げたい次第です。
誰かが真剣に伝えたいなにかがテーマであるとき
大抵にして映画は裏切らない。それが役者と演出のすぐれた仕事というものです。
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