エンスー恐るべし

みなさま、こんにちは。北川です。

エンスー＝エンスージアストの略　〇〇偏執狂と訳されよく車のマニアを指しますが、本日はあるオーディオ・エンスーの知人について書きます。

知人のMさんは70代前半の男性です。奈良生まれの日本人ながらアメリカ人のようにパンとパスタしか食べない御仁です。カレーのときしかライスを食べないのです。寿司もたべない。

和食、中華料理は鬼門で、イタリアンレストランかダイナーにしか行きません。たまにマクドナルド、ピザ。あとドーナツ屋さん。ラーメン屋が嫌いなのはいわずもがな。

そんな偏食のMさんは、ジャズマニアで有名です。ウッドベースも弾けます。Mさんの一番すきなベーシストはレイ・ブラウンですが、Mさんは若いころのブラウンばりにハンサムです、いまも。マメでおしゃれで女性にモテます。

そして彼のオーディオ遍歴こそエンスーそのものなのです。長岡鉄男さんなみの。。

ボーズ、JBL のスピーカーをゴミと言い放ちタンノイは辛うじて及第点、カスタムスピーカーを求めアメリカ、中国やタイにまで飛んでいくじつにおそろしいマニアなのです。おそらくポルシェ2台分くらいは生涯でオーディオ機器に投資しているもよう。

さすがにいまは仕事をしていないので、車も頻繁には買い替えずオーディオも過去の逸品を組み合わせて楽しんでいるとはおもうのですが、NFTでぼろ儲けしてさらにハイエンド製品を入手している可能性もあります。

あるとき。CDを生音に近い中高音域再現可能なアンプにかます逆コンプを買いました。

犬にしか聞こえない音を再現できるんだよ

と説明するのですが最早返す言葉がみつかりません。100万円也。

ただし、話には続きがあり

おおきな問題(心配）がひとつある。

このハードがもし壊れたとき、それが犬にしかわからないんだよ...

100万円払って満足度が高いのか低いのかよくわかりませんでした。

Mさんがマニア仲間と上海にスピーカーを買いに行ったエピソードは強烈です。それぞれ奥方を伴い、苦手な中華料理を忍びつつ買い物を済ませたのですが、なんと2人のマニアは一行4名の機内預り上限重量分　スピーカー16本と一緒に帰国しました。

仲間にも頒けたようですが、奥方たちへスピーカー8本重量のため帯同を頼んだというおはなし。

ランキン・タクシーさんは自作スピーカー52発をライブ用に製作したとむかし話題になりましたが、この個人買付にはおなじくらい驚きました。

ジャパンライン時代にNY駐在6年を経て流暢なバイリンガルのMさん。ご子息は裁判官なのですが、10年ほど前ワシントン長期出張があり、Mさんはその赴任にあわせなんと某社役員を辞め30年ぶりにアメリカ生活をエンジョイしていました。こんなチャンスないとばかりに。華麗なリタイア

滞在中はもうひとつの趣味、灯台巡りを東海岸中心に8000キロ走破して現地の仲間と楽しく岬折々の写真を撮っておられました。キャノンボールなみのロングドライブですね、、とにかく元気なよく喋る方であります。

ご想像どおりMさんはアメリカ大好きおじさんなので、現役時代にヨーロッパ出張で建物やあらゆる文化にゴシック様式がいまだに残る毎日に肌が合わないなあ、と不満を述べていました。ただし食事だけはとてもよかったよと笑みを浮かべていたものです。

かようにマメでアクティブなMさんは、これがオーディオだったから人生踏み外さずに済んだよなと笑います。女性相手だったなら火宅の人間違いなしというわけです。

尊敬するいつも面白いMさんが多忙をぬってわたしの結婚式に来て下すったのには今もって感謝の念に堪えません。いずれまた会食をおねがいします。ニックさん。

以上、家族にも愛される幸せなエンスーのおはなしでした。

毎度拙文ご精読をありがとうございます。